アジア製戦車を欧州へ 口火きったのは韓国K2 「兵器+交通インフラ」ビジネスから学ぶこと
ポーランドが、韓国からK2戦車とともに路面電車も購入しました。一見すると関連なさそうですが、ここには戦車も鉄道車両も製造できる、総合メーカーとしてのヒュンダイロテムの戦略がありました。
オールインワン商談はルーマニアでも
この「オールインワン商談」はルーマニアでも展開されています。2024年6月、韓国のリム・カプス駐ルーマニア大使は「韓国防衛企業の1つであるヒュンダイロテムは、K2戦車だけでなく、列車や鉄道システムも製造しています。したがって、(ルーマニアの)インフラストラクチャ、特に道路と鉄道を近代化する際、同社は優れたパートナーになります。時間はかかるでしょうが、ヒュンダイロテムをはじめとする韓国企業は、ルーマニアの交通インフラを改善するための非常に良いパートナーになると思います」と現地メディアに語っています。

ルーマニアはウクライナと国境を接していることもあり、防衛力の強化を急いでいます。2025年現在、旧ソ連製のT-55並びに国産のTR-85系列を主力戦車として運用していますが、老朽化したそれらを西側製の新型に更新しようとしており、候補に挙がったのがドイツのレオパルト2、アメリカのM1エイブラムス、そして韓国のK2でした。しかしレオパルト2は価格が最も高いうえに生産ひっ迫で納期も遅く、候補から外れます。
2023年5月にM1が選定され、54両の調達が決まりましたが、ルーマニアは主力戦車を300両取得する計画で、全数をM1で揃えるというわけにはいかないようです。旧ソ連圏である東欧諸国には、交通インフラの泣き所ともいえる50tの道路重量限界があるのが一因で、これは旧ソ連/ロシア戦車が最新のT-14「アルマータ」以外、50t以内に収まっている理由でもあります。M1は63tもあり、一方のK2は55tです。
ルーマニア政府は交通インフラを近代化するため、2016(平成28)年から2030年までに合計360億ユーロを投資する一般交通計画(GTMP)を策定していますが、ヒュンダイはそこに目を付け、商談を展開したと言えるでしょう。
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