ローカル線「異様なゆっくり運転区間」のナゾ 西日本でやけに多い“徐行を始めた理由”
ローカル線で「異様に速度を落として運行する区間」が、JR西日本で特に多く設定されています。なぜ速度を落とすようになったのでしょうか。JRもやる気がないわけではなく、突き詰めていくと“やむを得ない”実態も見えてきます。
「常時徐行」で事故は減ったのか?
この後、JR西日本は中国地方の閑散路線で「常時徐行」区間を拡大します。2009年の島根県議会の記録から、木次線でも20か所徐行していたと伺えます。加古川線などの電化路線、越美北線や関西本線など他地域の路線でも設定されました。大雨や台風の後の運転再開に時間をかけるようにもなりました。

これらの「常時徐行」対策が功を奏したのか、以降、JR西日本のローカル線では自然災害を起因とする脱線事故は減少した感もあります。
ただ、2020年3月、芸備線東城~備後八幡間を時速60キロで走行中のキハ120が落石と衝突して脱線しました。これも線路脇の斜面が崩壊して落石や土砂が路盤に流出したのが原因で、運転再開に1か月半かかりました。乗客は0人で運転士も無事でしたが、横転したキハ120は復旧できず現地で解体、廃車されました。
2023年3月には、芸備線備後八幡~内名間で、また落石起因の脱線事故が起きています。ここは「常時徐行」区間で時速25キロの速度制限が行われていましたが、キハ120は岩石と衝突。このときも乗客は0人でした。JRは対策として東城~備後落合間を4か月運休し、10か所で落石対策の工事を行いました。
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