トランプ戦闘機F-47の「コンペで敗けたメーカー」が余裕しゃくしゃくなワケ F-35で“まだまだいける!?”
アメリカ空軍の次期戦闘機開発に関する主契約企業にボーイングが選定。これについてライバルのロッキード・マーチンが異議申し立てをしない方針です。コンペに敗退しても余裕のある素振りを見せる背景には、何があるのでしょうか。
うちのF-35はまだイケる!
ティグレットCEOは、もうひとつ、注目すべき発言を残しています。NGADへの入札のために研究開発した技術をF-35に適用して、F-35を「第5世代+」戦闘機にすることができる――というものです。ただ、具体的にどのような能力が追加できるのかは明らかにしていません。
ロッキード・マーチンは2019(令和5)年6月に開催されたパリエアショーで、F-35の将来能力向上計画を発表しています。この計画にはCCAの統御能力や、SEAD(敵防空網制圧)能力の追加などが盛り込まれていました。筆者(竹内修:軍事ジャーナリスト)は、この計画がそのまま実行されれば、F-35の能力は同じパリエアショーで発表された仏独西の第6世代戦闘機「FCAS/SCAF」と遜色のないレベルに達するのではないかと思いました。
トランプ大統領は、アメリカ空軍仕様より性能を10%落としたF-47を輸出する考えも示していますが、その一方でティグレットCEOは、「能力向上によってF-47の80%の能力を得るF-35を、F-47の半分の価格で提供できる」と述べています。
アメリカ政府のF-35の調達ぺ―スは減少傾向にあるものの、中東諸国などからの潜在的な需要は依然として高く、能力向上が向上するだけでなく価格も安くなるF-35であれば、世界のマーケットで“F-47と十分に対抗できる”――その自信がロッキード・マーチンを強気にしているのかもしれません。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。
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