引退した後も臨時で走りまくっていた「最後の国鉄形特急電車」はどこへ? 姿を見せなくなったワケ
JR東日本が公表した2025年夏の臨時列車。24年夏に人気を集めた「目玉」は残念ながらお呼びではないようです。背景を探ると、驚くべき事情がありました。
最後の最後で“逆転現象” 185系の今後は?
これに対し、2024年の夏の臨時列車に起用された「B6編成」は、白い車体に3本の緑色のストライプが入った0番台の塗装でした。ところが、タイフォンカバーは200番台の耐雪カバーでした。
というのも、B6編成は200番台のためです。つまり、最後まで残ったC1編成は0番台なのに200番台の塗装を施し、同じく末期まで残ったB6編成は200番台なのに0番台の塗装という“逆転現象”が起きていました。C1編成とB6編成は、直近では大宮総合車両センター東大宮センターに留置されてきました。
185系の去就についてJR東日本関係者に尋ねたところ「2021年3月に『踊り子』の定期運転を終了後に、もともとは1年程度で全て廃車にする予定だったが、特急に使う車両が不足したため先送りした」と解説しました。
ただ、大規模な検査を通すとコストがかさむこともあり「B6編成、C1編成ともに2024年で営業運転を終え、以後はお客さんを乗せての運行はしない計画だ」と明らかにしました。
2025年の夏の臨時列車に185系が入っていないのは、このためです。別の関係筋も「臨時列車や団体臨時列車で運行することはもうないと聞いている」と打ち明けました。
少し前までは関東地方で幅広く活躍していた185系が現役を離れるのは筆者も残念ですが、国鉄末期のコストを切り詰めて造られた車両が登場から44年近くも第一線で走り続けたのは快挙と言えます。そう遠くないうちに到来するであろう“片道切符”の日には、「長い間、お疲れ様でした」との思いを込めて見送りたいと思います。
Writer: 大塚圭一郎(共同通信社経済部次長・鉄旅オブザイヤー審査員)
1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。
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