地下鉄はなぜ大雨で水没しないの?→してる!? 実は永遠の戦い「地下鉄vs水」 “滝”に突っ込んで壊れた電車も
地下鉄にとって大雨は、実は大敵です。直接降られることは少ないものの、雨水は隙間があれば容赦なくトンネルに流れ込んできます。地下鉄の浸水被害と対策はどのようになっているのでしょうか。
心臓部まで水に浸かった地下鉄の職員対応とは?
それでも浸水してしまったらどうするか。その苦労と鉄道人の底力を物語るのが「内閣府防災情報のページ」に掲載された福岡市地下鉄職員の証言です。
博多駅は2003(平成15)年7月の福岡水害でホーム面近くまで浸水し、様々な電気系統の設備が水没しましたが、翌日に運転を再開。「電気系統のものがたくさんありますから、あるものは部品を交換し、あるものは完全に乾かすというやり方で対応」したと振り返っています。
対策は水の侵入を防ぐしかありません。地下駅には出入口ごとに止水版が用意してあり、緊急時は土嚢を積み上げます。また過去、幾度も浸水の原因となったトンネル通風口には、雨を感知して自動的に閉扉する浸水防止装置が設けられています。
また東京メトロ、都営地下鉄は荒川氾濫時の大規模浸水に備え、地上からトンネルに入る坑口や出入口そのものを密閉する防水扉の整備を進めており、浸水対策は飛躍的に向上しています。しかしそれでも2024年の事例のように浸水被害が起こり得るのが現実。水との戦いは地下鉄の宿命と言えるのです。
Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)
1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx
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