地下鉄はなぜ大雨で水没しないの?→してる!? 実は永遠の戦い「地下鉄vs水」 “滝”に突っ込んで壊れた電車も
地下鉄にとって大雨は、実は大敵です。直接降られることは少ないものの、雨水は隙間があれば容赦なくトンネルに流れ込んできます。地下鉄の浸水被害と対策はどのようになっているのでしょうか。
日本初の地下鉄浸水被害 その顛末は
90年前の10月27日は、前日から降っていた雨が正午頃から急に強まり、東京都心では当時の観測史上最大、現在でも歴代8位となる1時間降水量70.5mmを記録し、東京市内で床下浸水1万1千戸、床上浸水1200戸が発生しました。

地下鉄は14時頃から上野駅で浸水が始まると、末広町駅を走行していた浅草行き列車が側壁の通風口から滝のように流れ込む水に突っ込み、運転台のガラスが破損して運転士は負傷。当日は全線で運転中止となりました。
浸水開始からわずか20分後には、上野駅はレール上約1m、田原町駅50cm、排水のためトンネルが深くなっている末広町~神田間はトンネルの半分近い1.8mもの浸水となったそうです。翌日から一部区間で折り返し運転を行い、29日に全線で運転を再開しました。
終戦直後の1945(昭和20)年9月3日には、8月末から降り続いた長雨が豪雨となり外苑前駅周辺の道路が30cmも冠水しました。雨水は外苑前駅南側の笄川(こうがいがわ)に流れ込み、氾濫。その水が近くの通風口からトンネル内に流れ込みました。
3日夕方には排水ポンプの能力を上回る雨水が流入し、レールは徐々に浸水。それでも終車まで運転を継続したのは終戦前後らしいエピソードですが、深夜になると水勢はますます激しくなり、ついに外苑前駅は天井下30cmまで、ほぼ完全に水没してしまいました。30台のポンプをかき集めて排水し、ようやく13日に運転を再開できました。
第三軌条方式の銀座線などは言うまでもなく、その他の路線も線路付近に様々な電気設備があるため、レールが冠水すると復旧が大変です。特に制御装置が水没すると致命的なので、過去に浸水被害を受けた名古屋市営地下鉄は、名城線の途中区間から機器のかさ上げや非常用ポンプを設置するなどの対策を行っています。
コメント