石破首相に知ってほしい!「日本で売って大爆死」したUSホンダ車 ユーザー目線は超大事です

日本への追加関税を発表しているアメリカ政府の軟化を狙って、政府は日系メーカーが北米で生産する自動車の逆輸入を検討しているようです。しかし、かつてホンダが輸入販売した大型ミニバンやSUVはうまくいきませんでした。

MDX

「MDX」は2003年から2006年まで日本で販売されていた大型SUVです。北米市場ではレクサス「RX」(日本名「ハリアー」)のライバルとして高級車販売チャンネルのアキュラからリリースされ、人気モデルとなった大型SUVです。

 ボディサイズは全長4790mm×全幅1955mm×全高1820mmと「ハリアー」よりも大きく、開発にあたっては「ラグレイト」と共通のプラットフォームを使用していますが、剛性を高める目的と4WD化への対応のため大幅に手が加えられています。心臓部には「ラグレイト」用の3.5リッターV6エンジンが流用されました。

 なお、「MDX」は2代目モデルも日本市場で販売する予定でした。というのも、ホンダは2008年から日本でアキュラ店を展開する計画で、そこのフラッグシップSUVとして輸入予定だったからです。ところが、日本経済の低迷により計画が延期され、加えてその間に発生した世界的な金融危機により、アキュラブランドの日本導入計画そのものが白紙撤回されてしまいます。また、初代「MDX」も日本市場のニーズに合わず、計画の1700台を売り切ることができなかったため、前述したように2006年に初代モデルの販売を終えると、日本への正規導入は途絶えています。

エレメント

「エレメント」はホンダのアメリカ法人、Honda R&D Americas, Inc.が若者をターゲットに開発・生産を行った大型SUVです。その特徴的なスタイリングは、ビーチにあるライフセーバーが詰めるライフガード・ステーションをモチーフにしており、10フィート(約3m)のサーフボードを積めることを前提に設計されています。また、観音開きとなる後席のドアは「サイドアクセスゲート」と呼ばれ、先に前席ドアを開けないと乗り降りができない構造になっていました。

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ホンダのカナダ工場で生産され、日本に逆輸入されたホンダ「MDX」。北米向けのアキュラ「MDX」の日本仕様(画像:ホンダ)。

 北米市場では2002年の発売開始とともに、遊び心あふれるコンセプトとポップで個性的なデザインが評価され、若者を中心に支持を集めますが、日本では観音開きドアの使い勝手の悪さと、質感が低くチープに見えるデザインが敬遠され、わずか2年余りで輸入が打ち切られています。

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 これら3台の北米製ホンダ車は、彼の地ではユーザーの支持を集め、人気になったクルマです。しかし、ユーザーがクルマに求める条件が異なる日本では鳴かず飛ばずに終わりました。これらを鑑みると、たとえ日系メーカーの製品だとしても、車体サイズやデザイン、開発コンセプトが市場にマッチしなければ日本市場で成功を収めることは難しいのがわかるのではないでしょうか。

※一部修正しました(6月18日18時40分)。

【タイミングをミスった?】今なら売れそう! カクカクの北米ホンダ製SUVです(写真)

Writer:

「自動車やクルマを中心にした乗り物系ライター。愛車は1967年型アルファロメオ1300GTジュニア、2010年型フィアット500PINK!、モト・グッツィV11スポーツ、ヤマハ・グランドマジェスティ250、スズキGN125H、ホンダ・スーパーカブ110「天気の子」。著書は「萌えだらけの車選び」「最強! 連合艦隊オールスターズ」「『世界の銃』完全読本」ほか」に

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