ジェットフォイルよりゆったり、でも速い!! 瀬戸内海をぶっ飛ばす「高速船」引退前に乗ってみた 「こりゃ新幹線グリーン車だ」
双胴水中翼船の「スーパージェット」は、最高速度32ノット(59.3km/h)という高速性能をはじめ、様々な特徴を備えていますが、今後、新型船へと置き換えられる予定です。その最後の活躍を見届けてきました。
懐かしく快適な船内空間
瀬戸内海汽船のスーパージェットは、広島港~松山観光港間で運航されています。今回は平日・広島11時50分発の松山行きに乗船しました。取材ということで、特別に船内を見学させていただきました。
総トン数189トンと小型ながら、同じ高速船であるジェットフォイルよりも船体の幅が広く、船内は広々としています。かなり大きな売店もあり、新しいコーヒーマシンも置かれていました。船内は2階建て構造で、2階には「スーパーシート」も設けられています。
ジェットフォイルの座席は航空機に近いものですが、スーパージェットの座席は1990年代の鉄道車両の座席を思わせる造りで、ゆったりとしています。スーパーシートは、かつての新幹線100系グリーン車を彷彿とさせる重厚な座席で、リクライニング角度はグリーン車以上になり、とても快適です。
船の入口付近にはフリースペースがあり、売店とあわせて船内を歩き回ることがきるゆとりが感じられます。今回は特別に普段立ち入りできない甲板やコックピットも見学させていただきました。
1時間20分の船旅があっという間
11時50分、定刻に出航します。とてもスムーズな加速で、スピードをしっかりと感じられました。エンジン音は大きいですが、ジェットフォイルよりは静かです。特筆すべきは「側窓のきれいさ」。瀬戸内海を航行する多くの船を楽しく眺めることができました。
11時50分発の便は、12時13分に呉港へ立ち寄ります。海上自衛隊の護衛艦が見えてきて、その迫力は壮観です。また、呉港ではリニューアル中の「大和ミュージアム」もすぐ近くで確認できました。
停泊中の方がゆらゆらと揺れを感じやすいのは、ジェットフォイルと似ています。今回は一般席を利用しましたが、乗船していたのは30人ほど。呉港からは、外国人グループ6人が乗船してきました。
窓側は外が見えてコンセントが設置されているからでしょうか、ほとんどの乗客が窓側の席を選んでいました。船内にはテレビもありますが、すぐ近くの席以外ではあまり見えやすいとはいえませんでした。
呉港を出港後は、9~16ノット(16.7~29.6km/h)程度に落として第二音戸大橋をくぐり、その後は本領発揮。30~32ノット(55.6~59.3km/h)程度の高速で疾走します。途中、売店でコーヒーを買いましたが、これがなかなかの美味でした。そして13時10分、定刻どおりに松山観光港に到着しました。
「スーパージェット」は、小型高速船ながら快適で、1時間20分の船旅があっという間に感じられるほど。まもなく引退を迎えるのが惜しいと感じさせる船でした。
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