目立ってナンボ!「俺を見ろ」爆撃機なぜ生まれた? 発煙弾やライトで故意にアピールまで
第2次世界大戦期、ヨーロッパ戦線の大空には、いまでは考えられないほどのカラフルでド派手な塗装を施した、とても目立つ軍用機が飛んでいました。まさに目立つことこそが目的だったというその塗装、もちろん理由があります。
あえて発煙弾を撃ったり、ライトを点灯したりも
用いられる機体は、銃座が撤去され、乗員もパイロット2名に、航法士、通信士、そして「フレアオペレーター」と呼ばれる乗員が1名から2名の、合計5名から6名でした。通常のB-17が9名、B-24が10名であることと比べると、銃座の要員ぶん少ないといえるでしょう。

なお、「フレアオペレーター」というのは、味方機に位置を教えるため発煙弾を撃ったり、夜間などに位置視認用のライトを点灯したりするための要員です。
基本的には、このカラフル先導機の役目は密集編隊を組むまでで、編隊が完成すれば、次の密集編隊を組む部隊のためにその集結ポイントへ向かうか、もしくは任務を終えて飛行場に帰投します。
そのため、ドイツまで飛んでいくことはまずないのですが、なかには密集編隊に加わって、そのままドイツまで飛んでいった機体もありました。なぜそのようなことをしたのか真相は不明で、おそらく編隊を維持するためとは思われますが、ともあれドイツまで飛行し無事に帰還した「Spotted Ass Ape」号と呼ばれる機体が知られています。
その後、レーダーや自動操縦装置の進歩によって、このようなカラフル先導機は必要なくなったため、第2次世界大戦後、ここまで派手な塗装機は現れていません。
Writer: 柘植優介(乗りものライター)
子供のころから乗り物全般が好きで、車やバイクはもちろんのこと、鉄道や船、飛行機、はたまたロケットにいたるまですべてを愛す。とうぜんミリタリーも大好き。一時は自転車やランニングシューズにもはまっていた。
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