将来のスクランブル対応機か!? 豪州の無人戦闘機プロジェクトに自衛隊も参画「次期ステルス戦闘機」との連携も視野
防衛省で行われた日豪の大臣会談において、オーストラリア軍が進める無人戦闘機の試験に航空自衛隊が参加することが明らかになりました。ただ、空自には「グローバルホーク」という無人機がすでにあります。何が違うのでしょうか。
機体開発と運用法の確立はセットで
もっとも、連携無人機はまだ開発段階にあり、運用方法も確立されていません。有人機より多くの機数を配備しようとするならば、導入・運用コストの削減や要員配置の効率化を同時に進めなければ、有人機とのリソース競合を招き、その両方に人員と予算を取られた挙句、全体的な戦力低下を引き起こしかねないのです。

筆者(布留川 司:ルポライター・カメラマン)は以前、オーストラリア空軍MQ-28A試験飛行隊の隊員に話を聞いたことがありますが、その際に彼が強調していた点が隊員教育の重要性でした。
「理想としては数百機のMQ-28を運用したいと考えています。通常のパイロット育成には多額の費用がかかりますが、この無人機に同じだけの費用をかけることはできません。現在はパイロットとシステムオペレーターが操縦していますが、将来的にはこの機体を操縦する専任要員を、より簡易な訓練で育成することを検討しています」(オーストラリア空軍試験飛行隊の隊員)
防衛省では国際協力事業として、このMQ-28Aだけでなく、アメリカとの「AI搭載無人航空機の安全性確保技術に係る日米共同研究」にも署名しており、積極的に無人航空機の取り組みを進めています。
GCAPと共に運用される連携無人機がどのような機体になるかは現時点では未定ですが、そのための情報収集と研究開発はすでに多国間で進められているといえるでしょう。
ちなみに2025年3月には当時、自衛隊制服組トップであった吉田統合幕僚長も「将来的には、我々が無人機を導入していった場合は、無人機を活用した対領空侵犯措置のあり方も検討の対象になると思う」と述べています。
航空自衛隊に無人戦闘機が配備されるのも、そう遠くないのかもしれません。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info
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