新幹線には勝てない? かつての“ドル箱空港”また減便 今なにが強みなのか「小松空港」

北陸新幹線の延伸により、東京からのアクセスにおいて苦戦が伝えられる小松空港。しかし視点を変えると、地元住民の利用やインバウンド観光において、まだまだ大きなポテンシャルを秘めているようです。

新幹線に“完敗”の羽田便 JAL・ANAの対応は

 金沢市と福井市のほぼ中間、石川県小松市に位置する「小松空港」。かつて羽田-小松線は地方路線のなかでも“ドル箱”といわれましたが、ANA(全日空)が2025年10月26日(日)から、さらに2往復減便し、2往復体制となります。北陸新幹線の延伸以降、同空港は苦戦が続いています。

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小松空港発着便(画像:PIXTA)

 小松空港は太平洋戦争中期に旧日本海軍舞鶴鎮守府の疎開基地として開設された小松飛行場がルーツで、戦後はアメリカ軍の接収を経たのち、1961年より民間航空と航空自衛隊の共有空港として開業。以来、東京と石川および福井とのアクセスを担ってきました。

 しかし、2015年3月に北陸新幹線が長野から金沢まで、さらに2024年3月には福井駅を経て敦賀駅まで延伸しました。これにより東京駅から金沢、福井まで鉄道での所要時間は大きく短縮され、それぞれ最短2時間25分、2時間51分で結ばれています(2025年10月現在)。

 これに対し羽田空港から小松空港までは飛行時間こそ約1時間ですが、空港から金沢駅までは直線距離で約30km、福井駅までは同約40km離れていて、リムジンバスでの所要時間はそれぞれ約45分、約60分です。空港での待ち時間を含めると、両駅までの移動にかかる時間は新幹線とほぼ互角です。

 これに加え、運賃面では新幹線に軍配が上がります。当日購入でも片道1万4380円~1万5810円(おとな・普通指定席)と、飛行機の正規片道運賃3万円超のほぼ半額です。飛行機を割引運賃で購入すれば新幹線とほぼ互角になりますが、事前購入の必要があったり、予約変更ができなかったり、さらに空港から都市部までの交通費が別途かかるといった不利は否めません。

 こうしたことから、2025年3月時点での東京駅-金沢駅の輸送人員では、JRのシェアが79%(JR東日本 FACTBOOK 2025)と、新幹線が飛行機を凌駕している状況です。

 日本航空(JAL)、全日空(ANA)は、北陸新幹線金沢開業時に中型機が主体だった羽田-小松便の機材を小型化。さらにANAは同区間の便を1日6往復から段階的に減便してきました。

またJALは2025年4月、同区間で運賃水準が新幹線とほぼ同等となる割引運賃「セイバー」の購入期限を「当日」まで可能とする異例の措置を期間限定で導入しました。しかしその期間はその後複数回にわたり延長され、現在の設定期間は2026年3月28日(土)と、“期間限定”が有名無実化しています。

【え…!】実は日本屈指の便利空港!? 「小松空港」の位置(地図/写真)

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