自衛隊の”次期練習機”を最新技術で支援! 世界屈指の「航空機メンテ企業」トップを独占取材!(前編)

航空自衛隊が新たな初等練習機としてアメリカ製のT-6「テキサンII」の導入を決めましたが、そのサポートにアメリカの大企業が手を挙げています。日本ではまだ知らない人が多い「隠れた巨人」といえる企業を取材しました。

アメリカ最大手の航空機整備企業が日本に熱視線

 日本を取り巻く安全保障環境が大きく変化するなか、新たに日本における事業拡大を模索する海外企業が増えています。

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航空自衛隊が2025年現在、運用している初等練習機のT-7(手前下)。この後継として、アメリカ製T-6A「テキサンII」の導入が決定された。奥を並んで飛ぶのはT-7の前に運用していたT-3(画像:アメリカ空軍)。

アメリカ企業の「Amentum(アメンタム)」も、その1社です。同社は航空機整備に関する大手企業であり、ミッションの近代化と維持における重要な課題に対し、先端的なエンジニアリングと技術ソリューションで解決策を提供するといったことも諸外国で行っています

 今回、筆者(稲葉義泰:軍事ライター)は同社のミッションソリューション上級幹部であるジョー・ダナウェイ氏にインタビューする機会を得ました。

 まずは、同社が展開する事業内容についてダナウェイ氏に伺いました。

「アメンタムは、先端工学および革新的技術ソリューションにおける世界的リーダーであり、アメリカに本拠を置く上場企業です。売上規模は約140億ドル(約2兆2000億円)、5万人を超える従業員を擁し、世界約80か国で事業を展開しています。

 当社の事業市場は大きく分けて、エネルギー&環境、宇宙、インテリジェンス、防衛、民間の5つで構成されています。私がかかわる『ミッションソリューション』は、アメンタムの防衛及び国家安全保障ビジネス部門であり、航空事業はその中核として位置づけられています。

 当社は世界各地で航空機の整備、近代化および先進的な修理ソリューションを提供しており、この事業には約9000人の従業員が従事しています。アメリカ陸海空軍、アメリカ国土安全保障省、さらにはカリフォルニア州向けに最大規模の航空サービスを提供しており、非常に幅広い実績を有しています。具体的には、固定翼機・回転翼機あわせて4000機以上、200種類を超える機種の整備・修理・運用支援を行ってきました。また過去20年間で3万人以上のパイロット養成にも関与しており、単なる整備だけでなく訓練分野にも進出しています」

 このように、アメリカにおいて幅広い事業を展開しているアメンタム。じつはこれまで日本においては航空機整備ではなく、原子力発電所に関連する企業として知られてきました。しかし、今後は航空機整備および有人・無人プラットフォームの近代化における分野においても存在感を大きくしていきたいと、ダナウェイ氏は語ります。

「現在、日本における当社の活動は大きく3つに分かれています。1つは原子力発電所の廃炉および廃止措置に関する革新的な技術ソリューションの提供、もう1つが防衛施設の設計および維持管理、最後が航空機の持続的整備支援です。

 前者は、東日本大震災による被害を受けた東京電力 福島第一原子力発電所の燃料デブリ取り出しに向けたプログラム管理と計画策定を支援しています。一方で、今後は日本企業との協業を通じて、特に後2者の分野におけるビジネス規模をさらに拡大していきたいと考えています。

 また、当社は日本に駐留するアメリカ政府機関の航空機に対して、限定的ながら整備支援を行っています。今後、日本に展開する米国機(米軍機)の数が増えるのに伴い、この事業も拡大していく予定です。その過程で、日本企業や防衛省などと連携し、日本の防衛産業基盤強化を支援することを重視しています。

 これまでに、日本飛行機やジャムコなどといった航空機関連企業や、防衛省並びに航空幕僚監部の担当者とお会いし、日本に関して勉強する機会をいただきました。これを受け現在、当社がどのように貢献できるかを模索しています」

【日の丸付きはいつ見れる?】これが「空自の次期初等練習機」です(写真)

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