自衛隊の”次期練習機”を最新技術で支援! 世界屈指の「航空機メンテ企業」トップを独占取材!(前編)

航空自衛隊が新たな初等練習機としてアメリカ製のT-6「テキサンII」の導入を決めましたが、そのサポートにアメリカの大企業が手を挙げています。日本ではまだ知らない人が多い「隠れた巨人」といえる企業を取材しました。

日本での事業拡大 視線の先には空自の次期初等練習機

 そうしたなか、日本における事業拡大という意味においてアメンタムが注目しているのが、航空自衛隊が初等練習機として導入を決定したT-6です。

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アメンタム社のミッションソリューション上級幹部であるジョー・ダナウェイ氏(稲葉義泰撮影)。

 T-6は、アメリカのテキストロン・アビエーション・ディフェンスが製造する機体で、アメリカ軍では空軍および海軍が練習機として採用しているほか、諸外国でも派生機が導入・運用されています。日本では、航空自衛隊が2030年度から用途廃止となる現行の初等練習機T-7(SUBARU製)の後継として、2024年末に採用が決定されました。

 アメンタムは、米本土におけるT-6の整備業務に長年携わっており、航空自衛隊のT-6整備にも協力が可能であるとダナウェイ氏は語ります。

「当社はT-6を製造しているテキストロン社との長年の関係があり、現在も米海軍のT-6練習機約280機に対する唯一の整備提供者です。顧客であるアメリカ政府のもとで、Oレベル(日常的な保守点検)からIレベル(部隊における整備)、さらにはDレベル(工場での大規模整備)まで、機体に関する全整備を担っています。この契約は20年以上継続しており、アメリカ海軍とテキストロン社と緊密に連携して実施しています。さらに、アメリカ空軍のT-6についてもサポートを提供しており、非常に幅広い知見を有しています。

 日本にT-6が導入される計画についても十分に認識しており、すでに航空幕僚監部に対して必要な情報提供を開始しています。今後、導入プロセスが進むにつれて、日本企業との協力が一層進展し、日本の航空自衛隊におけるT-6の運用を支えることになると確信しています」

 また、仮に今後日本での航空機整備事業が拡大した場合、元自衛官の雇用などにより人材活用と技術継承を進めることが可能だとダナウェイ氏は説明します。

「軍と産業界の融合は、現行の近代化された先進的航空プラットフォームの維持整備において成功の鍵を握ると考えています。アメンタムの従業員の相当数は元軍人であり、制服を脱いだ後も、同じスキルと使命感を持って航空機整備に従事しています。これは軍の専門知識を維持・継承するうえで極めて有効な形態です。

日本でも同様の形で実施することが可能と考えています。身体的な理由などで現役任務に就くことが難しくても、航空機の整備や技術支援という形で貢献できる人材は数多く存在します。こうした軍民融合の仕組みは、技術の継承と戦力維持の両面で大きな効果をもたらすでしょう」

【日の丸付きはいつ見れる?】これが「空自の次期初等練習機」です(写真)

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