鉄道バスは「何人乗っていればエコ」なのか? “あなたが乗らなきゃ”CO2垂れ流し「国家目標」達成不可能という現実
運輸部門のCO2削減目標を達成するには、クルマの電動化だけでは不十分です。公共交通の利用、つまり「乗合」が鍵となります。では、大きなバスや列車に「何人乗っていれば」エコと言えるのでしょうか。
「乗らなきゃ」バスも環境にやさしくない
一般的に公共交通機関は環境にやさしい乗り物といわれています。しかし、車両1台単位で考えると鉄道やバスは乗用車より大きいため必要なエネルギーも大きくなります。乗用車との違いは、この大きな車両に多くの人が乗り合うため、一人あたりのCO2排出量が少なくなるところです。
同じく2023年の国土交通省の公表値を見ると、乗用車と比べてバスの一人当たりのCO2排出量は半分、鉄道では1/8程度であるとされています。
しかし、この効果は乗り合わなければ発揮されません。実際に、コロナ禍で輸送量が大きく落ち込んだ2020年では、逆転はしないものの削減率はバスでは17%、鉄道では78%となりました。
公共交通機関の利用が減少し、地方都市ではほとんど利用者のいないバスがあると、「空気を運んでいるようなものだ」と言われることがあります。そのような場合には、必ずしもバスは環境にやさしい乗り物とはいえなくなります。
それでは、実際にどれぐらい乗っていれば公共交通機関が環境にやさしい乗り物といえるか考えてみましょう。
結局「何人乗ればエコ」なのか?
現状の乗用車の燃費を燃料消費調査から推計すると10.8km/L程度となります。これに対してバスは3.1km/L程度です。バスは車格により大きく燃費が異なりますが、ここではその平均値を使用することにします。
同様に鉄道では、鉄道統計年報の運転用電力・燃料消費額表から推計すると電車は1両あたり0.4km/kWh、ディーゼル気動車1.5km/L程度となります。
これを燃料ごとに(ガソリン、軽油、電気)のWtWを踏まえて評価すると、乗用車に比べて、バスは4倍、電車は5倍、ディーゼル気動車は8倍のCO2排出量となります。
つまり、バスの場合は4人、電車・ディーゼル気動車はそれぞれ1両あたり5人、8人乗車していないと、一人当たりのCO2排出量は乗用車より悪くなることになります。
さらに、気を付けなければならないのは、バスや鉄道は利用者がいなくても走行しているというところです。バス停や駅で乗り降りがあるため、全ての利用者が終点まで乗り通すわけではありません。全線を通した平均的な乗車人数で考える必要があります。
このように、全ての車両を電動化しても目標は達成できず、公共交通機関も乗り合う人が少なければ逆効果となります。運輸部門のカーボンニュートラル達成のためにこれらを組み合わせて取り組んでいくことが大切です。
Writer: 井原雄人(早稲田大学スマート社会技術融合研究機構研究院客員准教授)
大学における研究成果の社会実装を目的に、電動バスや燃料電池車両の開発から、各地の地方自治体でそれらを活用した地域公共交通の計画策定や、地域が主体となったコミュニティ交通導入を実施。





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