空の“二大巨神”がまさかの統合!? 米空軍が計画する「超ビッグな次世代機」と、立ちはだかる“究極のジレンマ”とは
米軍の世界展開を支えてきた超大型輸送機C-5とC-17。老朽化が進む両機の後継として、2機種を単一プラットフォームに統合する次世代機「NGAL」構想が浮上しています。最大サイズを追求しない合理化の狙いと課題とは。
新型機NGAL開発のカギは?
NGAL開発の鍵となるのは、要求性能の再定義です。貨物機は物資を搭載し空輸するという根本的な任務から「大は小を兼ねる」特性があります。航空貨物は基本的に「パレット」と呼ばれる標準化された荷台に積載され機内に収納されます。したがって輸送機は「何個のパレットを運べるか」が重要となりますが、こと軍用輸送機においてはパレットに収まらない規格外の大型貨物を搭載することが少なくありません。
仮にNGALがC-5とC-17の中間サイズになるとするならば、最大搭載能力はある程度犠牲になるでしょう。その場合、重装備部隊の大規模展開は、より多くの飛行回数を要するか、あるいは部分的に海上輸送との連接を前提とする運用へとシフトすることになります。
一方でC-17並みのコストで調達可能な機体であれば、保有機数を確保しやすく、可用性という観点では全体最適が図られる余地があるとも言えます。
従って、両者を単一機で代替する場合、搭載量・航続距離・滑走路要求長の三要素をどの水準で折り合わせるかが最大の論点となると考えられます。
2038年という目標年は決して遠い未来ではありません。どのような選択肢をとるにせよ、C-5とC-17の寿命は日々消費されています。2つの巨人が築いた空輸システムが今後転換点を迎えることは確実であり、単一機種による統合は、合理化かそれとも能力を損なう結果を生むか。空軍が描く次世代空輸の輪郭が、アメリカ軍の世界規模における機動力を左右することになるのは間違いないでしょう。
Writer: 関 賢太郎(航空軍事評論家)
1981年生まれ。航空軍事記者、写真家。航空専門誌などにて活躍中であると同時に世界の航空事情を取材し、自身のウェブサイト「MASDF」(http://www.masdf.com/)でその成果を発表している。著書に『JASDF F-2』など10冊以上。





コメント