トランプ氏「旧来のメーカーは株主配当や役員報酬にしか興味がない」 呪われた米次期戦闘車開発にまた黄信号? ブラッドレー後継の“墓場”

アメリカ陸軍が進めるM2「ブラッドレー」歩兵戦闘車の後継車開発計画に、不透明感が漂っています。過去に5度も頓挫し「ブラッドレー後継の墓場」と揶揄される計画は、6度目のやり直しになる可能性が出てきました。

なぜ失敗が続くのか

 なぜ失敗が続くのでしょうか。それは、兵器開発が時代に追い付いていないことが一因です。私たちが日常使うスマホからも分かるように、技術の発達は日進月歩です。ロシア・ウクライナ戦争では2022年2月の開戦以降、戦場の様相は精密誘導兵器やドローン、電子戦、衛星通信ネットワークなど月単位で急速に変化しています。

 一方で戦車や歩兵戦闘車開発は、構想から配備まで10年以上を要するのが常でした。兵士たちが日常使っているスマホの進化ぶりに比べて、自分が使う「新型兵器」は納入される頃には時代遅れというのはもう許されないというわけです。

 2026年2月18日付で発出された陸軍情報提供依頼書(RFI)は、XM-30やブラッドリーの後継については具体的に言及されていないものの、海外には競合する新型の歩兵戦闘車もあり、代替を匂わすことでジェネラル・ダイナミクスとラインメタルにプレッシャーをかける意図もあるようです。

 注目すべきは、XM30と並行して戦車分野でも変化が進んでいる点です。アメリカ陸軍は改良型エイブラムスである「M1E3」戦車の開発を加速させており、2026年中にM1E3とXM30による実験小隊を編成して実戦部隊でトライアルする方針を示しています。

 M1E3は、従来の重量増加型改良とは異なり、軽量化と電力余力の拡大、電子機器の刷新を重視したモデルとされています。ウクライナでの戦訓から単なる「強化型戦車」ではなく、ネットワークの一部として機能する戦車への転換を図っています。

 興味深いのが、M1E3プロトタイプ開発を主導しているのが自動車のチューンナップなどを手掛けるラウシュ(Roush)という会社ということです。旧来の兵器メーカーではない新規ベンダーを参入させて、早く作って現場で試して、結果をフィードバックして改善を繰り返すという開発手法を採ろうとしています。

 トランプ大統領は「せっかく国防予算を増額しても旧来の兵器メーカーは株主配当や役員報酬にしか興味がない。価格は下がらず製品の品質は悪く納期も守らない」とSNSに投稿するなど既存産業界に不満を示しています。

 政権は産業界に対して体質改善を要求し、無人技術やソフトウェアに強みを持つこれまで軍需に関わっていなかったベンダーにも参入機会を広げています。XM30も“墓碑銘”に追加されれば産業界にとっても衝撃となるでしょうが、先が読みにくいのもトランプ政権です。

 試行錯誤の過程が公開され、議論されること自体は民主国家の軍備調達として健全とも言えます。ブラッドレー後継問題は単なる車両の更新ではありません。変化の激しい戦場、そして産業構造の転換が交差する象徴的なテーマです。

【開発中】これが次期歩兵戦闘車「XM-30」のイメージです(画像)

Writer:

1975(昭和50)年に創刊した、50年以上の実績を誇る老舗軍事雑誌(http://www.argo-ec.com/)。戦車雑誌として各種戦闘車両の写真・情報ストックを所有し様々な報道機関への提供も行っている。また陸にこだわらず陸海空のあらゆるミリタリー系の資料提供、監修も行っており、玩具やTVアニメ、ゲームなど幅広い分野で実績あり。

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