「地形が厳しすぎる」沿線に“住んでもらう”には? 京急が進める「かなり泥臭い戦略」の凄み キッカケはマグロ
人口減少の波が迫るなか、鉄道各社は沿線の価値向上に舵を切っています。手法は様々ですが、京急はかなり大変な方法をあえて採っているようです。若い世代の心を掴む“戦略”を探ります。
開発ができないなら「徹底的に回遊してもらう!?」
そこで京急は2021年6月、エリアマネジメントを本格化させました。ヒューリックや日比谷花壇などの外部資本と提携し、城ヶ島の高級ホテル整備やソレイユの丘(横須賀市西部)のリニューアルといった滞在拠点の再整備を進める一方で、地域の商店・海や山のアクティビティなどと連携し、拠点を面でつなぎました。
特に後者は地道な“地上戦”でした。自治体と連携し、シェアリング用電動モビリティのデポを設置し、駅から各施設へのアクセスを整備しました。さらに地域の商店や観光施設を一軒一軒訪ねて情報提供を呼びかけ、集客基盤として海や山のアクティビティとアクセスを一体で紹介・販売するWebサービスを立ち上げます。翌年からは「みさきまぐろきっぷ」をスマホで購入できるデジタルチケットにし、半島の端まで来た人々を他の施設にも回遊させ、経済効果を引き上げました。
従来の不動産開発では自社で事業が完結していました。それに対し、エリアマネジメントでは外部資本や自治体・地域の事業者を結び付け、京急も地域の一員として皆で神輿を担ぐように三浦・三崎地域の価値を上げたのです。
2024年3月、京急は「沿線価値共創戦略」を契機に、エリアマネジメントを都市部(品川・羽田・川崎・横浜・上大岡)にも拡大し、新しい(New)地域(Local)作りを意味する「newcal(ニューカル)」と名付けました。集客基盤であるwebサービスも、エリアマネジメントと同じ名称 newcal にリニューアルされました。
品川の大規模開発と既存市街との融合、川崎の住民コミュニティ活性化、横浜黄金町の高架下活性化など、地域の課題と活動内容はそれぞれ異なりますが、京急は各エリアに担当を置き、自治体と地域住民を訪ねて話し合い、連携してエリアマネジメントを進めています。
通常、このようなサービスでは効率良く稼ぐために、自社グループの施設紹介を優先しがちです。しかし、京急はあえて「路地裏のパン屋」や「小さなアートスタジオ」を主役に据えました。遠回りでも自社で抱えきれない魅力を「面」で繋ぐことで、沿線全体の価値を高めることを最優先にする戦略です。





嘗てこのルートは明治時代に横須賀線のルートになる予定でした。