米軍の“誰も置き去りにしない”を証明 1人の救出に航空機155機を投入「CSAR」のスゴさとは 日本の自衛隊はどうなの?
F-15Eが撃墜された際、アメリカ軍は直ちに救出作戦を発動し、最終的には爆撃機を含めた155機もの航空機と特殊部隊まで投入する大規模作戦へと発展しました。なぜそこまでするのでしょうか。
なぜ1人のために155機が動くのか
今回の作戦では、パイロットは比較的早期に救出された一方、WSOは離れた地点に降下したため、その場での同時救出はできませんでした。負傷したWSOは山岳地帯へ移動して救助を待つことになりますが、時間の経過とともに現地にはイラン軍が集結してしまい、作戦はアメリカ空軍の救難部隊だけでは完結しない統合作戦へと発展していきます。
ホワイトハウスでの記者会見によれば、2回目の救出作戦には爆撃機4機、戦闘機64機、空中給油機48機、救難機13機などが参加し、総数は155機に達したとされます。さらに、WSO位置特定にはCIAも協力し、現地での戦闘に備えてアメリカ海軍の特殊部隊DEVGRU(SEAL Team Six)まで投入されたと報じられています。
今回の救出作戦は、1名の乗員を救出するために、多くのアメリカ軍部隊と人員が投入され、被害の方も死亡者こそいませんでしたが、負傷者は複数報告されており、参加航空機も1機のA-10が墜落し、2回目の救出作戦でイラン国内の前進基地に展開した2機のMC-130輸送機(4機のMH-6ヘリコプターを搭載)が離陸不能となったため現地での爆破処分がされています。
SAR任務では救出する人員よりも多くに人々が危険に晒され、場合によっては数字上を見合わない被害を受けることがあります。しかし、アメリカ軍の救難部隊では「No Man Left Behind(誰一人置き去りにしない)」や「That Others May Live(他者を生かすために)」という標語を掲げており、高いリスクがありながらもCSAR任務を戦場で行なってきました。
その一番の理由は、仲間を決して見捨てないという道義的な意思表示と、任務に就く兵士の士気向上です。しかし、アメリカ軍の場合は兵士の救出は政治的な意味合いもあり、捕虜となってその国のプロパガンダに利用されることや、尋問による軍事機密の流出を防ぐといった別の狙いもあります。
航空自衛隊の救難団ではアメリカ空軍の標語「That Others May Live」を掲げており、災害派遣などでは自衛隊以外の一般人の救助活動もたびたび行なっています。そのことから、救難飛行隊は人命救助を行う部隊として認知されています。しかし、アメリカ空軍の場合、任務を行う環境や、軍を動かす国家の政治的な背景から、同じ救難部隊であってもその活動内容と性質は大きく異なったものとなっているのです。
Writer: 布留川 司(ルポライター・カメラマン)
雑誌編集者を経て現在はフリーのライター・カメラマンとして活躍。最近のおもな活動は国内外の軍事関係で、海外軍事系イベントや国内の自衛隊を精力的に取材。雑誌への記事寄稿やDVDでドキュメンタリー映像作品を発表している。 公式:https://twitter.com/wolfwork_info





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