因縁のライバル「ボーイング」と「エアバス」の“兄弟製品”とは? 自衛隊が“どっちも採用”なるか!? どっちがスゴいのか
陸上自衛隊で広く使われているUAS「スキャンイーグル」の開発者が設立した別の会社が、新たなUASを開発しました。それらはボーイングとエアバスというライバル同士から発売。「兄弟機」といえる両機が、日本でも使われるのでしょうか。
“弟分”はエアバス製VTOL機
スキャンイーグルはカタパルトを使用して発進し、クレーンから吊るされたネットに機体が飛び込む「スカイネット」と呼ばれる装置によって回収されます。2022年7月6日付の「ドローン・ネットワーク・ニュース」の記事によれば、マクギア博士はこの発進・回収装置の大きさが運用上の制約になると感じていたようです。
マクギア博士の考えを反映してエアロベルが開発した「フレックスローター」は、機首部に情報収集用センサーターレットを装備している点と電動UASである点はスキャンイーグルと共通しているものの、機首後方のローターで垂直離着陸と飛行を行うVTOL(垂直離着陸)機です。
スキャンイーグルはヘリコプター甲板を備えていない船舶からの運用が可能で、その点がヒットした理由の一つですが、フレックスローターの離発着に必要なスペースは3.7×3.7mとさらに小さく、スキャンイーグルより狭い環境や小型の船舶でも運用できます。
理由は明確になっていませんが、エアロベルは2024年5月にエアバスのヘリコプター部門であるエアバス・ヘリコプターズに買収されており、フレックスローターは現在、エアバスの商品となっています。
陸自で「兄弟機」が翼を並べる日は来るか
海上自衛隊はヘリコプター甲板を持たないさくら型哨戒艦で運用するため、フレックスローターと同じVTOL型UAS「V-BAT」を導入しています。このためフレックスローターの海上自衛隊からの採用は早急には期待できそうもありません。
他方、エアバス・ヘリコプターズはエアロベルを買収したメリットを活かして、フレックスローターを有人ヘリコプターH145から制御する実験にも成功しています。同社は陸上自衛隊や海上保安庁などの法執行機関、送電線などの大規模インフラを管理する企業などに対して、フレックスローターの高いVTOL性能と、有人航空機から制御できる拡張性を前面に出して提案を行っているという話を、筆者(竹内 修:軍事ジャーナリスト)は耳にしています。
前に述べたようにスキャンイーグルは発進にカタパルト、回収にスカイフックをそれぞれ使用します。これらの装置は車載可能で、陸上自衛隊の車両で牽引できるのですが、この車両が道路交通法の規定に適合していないため、大型トラックに車両ごと搭載して移動しているという話があります。
この話の真偽のほどは定かではありませんし、陸上自衛隊がISTAR用UASにスキャンイーグルより高い運用柔軟性と戦略機動性を求めているという事情などもあるとは思いますが、陸上自衛隊の中にはVTOL型UASを求める声も少なからずあるようです。
仮に陸上自衛隊がVTOL型UASを導入することになれば、フレックスローターはその有力な候補の一つになり得ると思います。ともにテッド・マクギア博士が開発を主導し、ボーイングとエアバスにとって血を分けた兄弟機とでも言うべきUASが、翼を並べてISTAR任務にあたる日が来るのかもしれません。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。





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