タイヤ交換の最後でカチッ!カチッ! 意見が割れる「トルクレンチの2度打ち」とは やっていいの?悪いの??
自分でできるクルマの整備のなかでも身近なタイヤ交換。ホイールナットを締めるトルクレンチで、一度「カチッ」と鳴った後にもう一度締める「2度打ち」はOKなのでしょうか。実は“締めすぎ”よりも怖いことがあります。
工具メーカー公式は「NG」 しかし…
トルクレンチを「2度打ち」してはいけないのか、やってもいいのか。元整備士である筆者(坂上猛禽:ライター)としての見解は、「OK」となります。
しかし、前述のようにオーバートルクになるような気がするうえに、トルクレンチを製造している工具メーカーでは、2度打ちをNGとする指示がされています。なぜOKなのでしょうか。
実は自動車メーカーが発行している取扱説明書を見ると、締め付けトルクは「98Nm(±2Nm)」「88~108Nm」といったように、基準値に幅を持たせた記載になっています。
またオーバートルクのリスクですが、設定トルクさえ変えていなければ、仮にトルクレンチを2回鳴らしたとしても、その際に加わるトルクはごくわずか。過大と言えるほどのオーバートルクにないと言えます。
つまりホイールの締め付けトルクは「規定トルクの範囲内の値で締まっていれば、ピッタリでなくてもOK。その範囲内ならば多少の増し締めは問題ない」という認識で大丈夫でしょう。
実際に、あるメーカー直営ディーラーに併設されている整備工場では、整備作業者がホイールをトルクレンチで締めた後、ちゃんと規定値内で締まっているか、別の作業者が再度トルクレンチを当ててダブルチェックしています。
これも「2度打ち」になりますが、少なくとも筆者は、これが原因でナットやボルトが壊れるといった事態は一切見たことがありません。また超高速走行や長時間の耐久走行など、一般の車両よりはるかに高負荷な状態でクルマを走らせているモータースポーツの現場でも、走行前にトルクレンチを「2度打ち」するチームは多く見られます。
逆に、2度打ちによるオーバートルクばかりを気にした結果、ナットやボルトの締め付けトルクが規定値を下回った、「アンダートルク」状態のままで走る方がよほど危険です。タイヤ交換をする際は適切な管理と校正がなされたトルクレンチを必ず用意し、適切な使用方法で作業を行いましょう。
Writer: 坂上猛禽(ライター)
猫好きな戌年生まれ。幼い頃に見たロータス79のルックスに惚れた勢いでモータースポーツ偏愛を拗らせる。自動車のことであれば市販車・レースカー問わずなんでも食いつくが、どちらかといえば技術と歴史の話が好物。一方で海外取材は未経験のため、当面の目的は「ニュルブルクリンク北コースを自ら走ってみること」と「グッドウッド・フェスティバル現地取材」。





2度打ちが良いのか悪いのかよりも、問題なのはプリセット型の使い方。たぶん多くの人が勢いよくカチッ!ってやってて、「カチッ」からさらに締まっていてオーバートルク。グーっと締めていって「カチッ」の瞬間に力を抜く使い方をする人は、何回連続で打ってもオーバートルクにはならない。新人にはまずプレート型でトルク管理の練習をさせてたな。締め方みてたら、ちゃんと分かっている奴かどうか分かるよ