「上が丸見えで大丈夫?」大戦中に“屋根なし戦車”が実戦で使われた意外な理由 当時の戦術プランとは?

第二次世界大戦中には上部の防御をそもそもまったく考慮しておらず、“むき出し”だった戦車も存在しました。そのひとつが、第二次世界大戦中にアメリカで開発された駆逐戦車です。

むき出しには大きな意味があった?

 これらは、機動性を重視した“動く対戦車砲”といえるものです。なぜこのような発想に至ったのかというと、当時のアメリカ陸軍では、戦車同士が戦う状況は偶発的な“遭遇戦”に限られると考えられていたためです。そのため、機動力を生かして敵より先手を打ち、戦車を撃破する役割は、「専門家」である戦車駆逐大隊に担わせようという考え方が採られていました。

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市街地戦を行うM36「ジャクソン」(画像:アメリカ国立公文書館)

 しかし、実際に参戦して北アフリカでドイツ軍との戦闘が始まると、戦車駆逐大隊の装備する火砲や車両では、ドイツ戦車に対して非力であることがすぐに明らかになります。

 この問題を解決するため、アメリカは急遽、M4中戦車の車体を流用し、50口径3インチ(76.2mm)砲を搭載したM10駆逐戦車を開発し、1942年6月に制式化しました。このときオープントップの砲塔が採用されましたが、これは軽量化に加え、3人の乗員が肉眼でいち早く敵戦車を発見し、有利な位置へ迅速に移動することで、先制攻撃や待ち伏せを行いやすくするためでした。

 その後も、M18「ヘルキャット」やM36「ジャクソン」など、類似の駆逐戦車が制式化されますが、いずれもM10と同様にオープントップ砲塔を採用しています。なお、一見すると防御力に不安があるように思えますが、近距離で戦車を相手にする場合、砲塔については正面装甲が十分であれば、砲弾は直射のため頭上に降り注ぐことはほとんどありません。実際、砲塔が直接攻撃を受けるケースは多くなかったようです。

 さらに、アメリカ軍を中心とする連合軍は、欧州戦線においてほぼ全期間にわたり航空優勢をほぼ維持していたため、上空からの攻撃の脅威も比較的低く、運用上の大きな問題はありませんでした。

 また、偵察機に発見される可能性も比較的低く、機敏に行動して敵の側面や背後を突く戦法も多用されました。ただし、敵戦車に先に発見された場合や、対歩兵戦においては装甲の薄さが弱点となるため、戦場に急行し攻撃後は即座に離脱する、いわゆるヒット・アンド・アウェイ戦法を徹底することが前提となっていました。

 しかし、戦車と比べて目覚ましい戦果を挙げたわけではなく、また戦車自体が全周旋回砲塔を備え、同等の火力と機動力を持つようになると、防御力の劣る専用車両を別系統で生産する必要性は薄れました。その結果、戦後は次第に姿を消すことになります。

【むき出しすぎでしょ!!】これが、駆逐戦車の砲塔の上部です(写真)

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