なぜ道路の片方だけ「洞門」が…? 雪崩も落石も起きようがない国道246号の不思議スポット、その正体とは?

国道246号には、都市の近郊にもかかわらず、道路の片方だけに「洞門」が設置されている場所があります。そこは何かを“守っている”場所でした。

下り線だけ「洞門」の不思議

 神奈川県厚木市内の国道246号には、ちょっと不思議な箇所があります。上下線のうち下り線側だけが、平らなコンクリートで覆われ、中央分離帯の柱で支えているのです。

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国道246号の地頭山洞門。地名が加えられた交差点名「船子洞門」のほうがよく知られている(乗りものニュース編集部撮影)

 すぐ近くの交差点名は「船子洞門」、そして洞門の名板には「地頭山洞門」とあります。洞門といえば一般的に、落石や雪崩を防ぐためのシェッド(覆道)ですが、そんな災害の気配は全くない都市郊外です。

 実はこの洞門の上は「地頭山古墳」と呼ばれる前方後円墳になっています。

 この区間は昭和50年代に整備された国道246号のバイパスが、旧道(当時の現道)に合流する箇所です。下り線だけ洞門が設けられた経緯は、「厚木市史だより」に詳しく書かれています。

 当時の市職員が、バイパス建設現場を通りかかったところ、工事準備のため雑木林や下草が刈り取られ、こんもりとした小山の姿がはっきりと見え「前方後円墳ではないか」と直感したそうです。周囲の相模川流域には、海老名や寒川、平塚で前方後円墳が発見されており、厚木市域にはないのかというのが、長年の疑問だったといいます。

 国土交通省もこの古墳の経緯を綴っています。1973年度から76年度でバイパスの用地買収を完了し、1977年度から本格的な工事に着手したものの、この年の8月、古墳の発見を受け翌年2月2日から20日まで調査をした結果、5世紀前半の前方後円墳であることがわかったとのこと。

「古代相模国の歴史を考える上でもっとも重要な位置を占める古墳である」との調査結果を受け、当初は山を削り取る計画だったのが、文化財保護の目的で29.5mの洞門を建設。1981年3月、バイパスが開通したといいます。

 工事開始から古墳の発見、バイパス設計の変更、そして開通までわずか4年というスピードです。他方、国道246号をめぐっては現在、別の場所でも古墳の保護と道路整備の両立が図られています。国道246号の終端部にあたる、静岡県沼津市の裾野バイパスから国道1号までを結ぶ都市計画道路「沼津南一色線」です。

 こちらは1996年に事業着手されましたが、遺跡の保存をめぐって紛糾。道路の重要性もさることながら、この間、東日本では最古級・初期古墳としては最大級という古墳の重要性も明らかとなり国史跡へ指定されています。15年の歳月をかけて遺跡の保存を両立する設計をとりまとめ、2025年に工事が始まりました。

【なるほど!】これが上から見た「洞門」です(写真)

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