うちのほうが6日早いから“史上初”――なぜ“身内”に露骨なマウントを? 初設定の「北海道-北米」空路に思わぬ伏兵

北海道の空の玄関口を巡って2026年1月、「北海道から史上初となる唯一の北米直行便」とうたった国際線開設が発表されました。ところが約4か月後、大どんでん返しが待ち受けていました。

“身内”同士の争いの背景

 新千歳空港など7空港を運営する北海道エアポートは、2020年6月の運営開始後に新千歳空港への新規就航定期便に対して着陸料を4年間にわたって割引する制度を導入しました。割引率は段階的に削減され、1年目に100%、2年目に75%、3年目に50%、4年目に25%となります。

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エア・カナダのボーイング787(大塚圭一郎撮影)

 こうした助成策も生かし、「北海道および北海道エアポートによる路線開設の熱心な働きかけがあった」(航空業界関係者)のが、ユナイテッドによる初の北米直行便、エア・カナダによる初のカナダ直行便の背中を押しました。

 ただ、同じスターアライアンスの“身内”同士でありながら、ユナイテッドがアメリカ大陸から北海道への「一番乗り」を奪取して火花を散らすのはなぜでしょうか。背景にあるのは、ユナイテッドとエア・カナダが思いっきり競合しているという実態です。

 バンクーバー空港はエア・カナダのハブ(拠点)空港の一つとなっており、新千歳からのフライトは「バンクーバー経由でカナダやアメリカ、メキシコ各地へスムーズに乗り継いでもらえるようになる」(マーク・ガラード上級副社長)。中でも世界最大の経済大国であるアメリカと日本を移動する需要は大きいため、エア・カナダはカナダ経由の移動を呼びかけています。

 これに黙っていないのが、牙城のアメリカに攻め込まれているユナイテッドです。サンフランシスコ空港がハブ空港の一つなのを活用し、新千歳線の就航後には「プレミアムな太平洋の玄関口であるサンフランシスコを通じて、アメリカの80近い都市と札幌を移動する旅行者をつなぐ」とアピールしました。

 これはエア・カナダが「カナダ国内に加え、アメリカ、メキシコを含めた45を超える都市への便利な乗り継ぎが可能になる」と紹介したのに対し、乗り継げる都市数でユナイテッドが上回るとマウントを取っているようにも映ります。

 利用者獲得に向けて仁義なき戦いに打って出る北米航空大手2社にとって、就航先の北海道が「試される大地」になるのは間違いありません。

【え…!】これがサンフランシスコとバンクーバーであまりに違う“空港名物”です!(写真)

Writer:

1973年、東京都生まれ。97年に国立東京外国語大学フランス語学科卒、共同通信社に入社。ニューヨーク支局特派員、ワシントン支局次長を歴任し、アメリカに通算10年間住んだ。「乗りもの」ならば国内外のあらゆるものに関心を持つ。VIA鉄道カナダの愛好家団体「VIAクラブ日本支部」会員。

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