アジアいち美しいかもしれない線路!? 「まるでトトロの世界」を走る路面電車とは? 軌道の8割を“緑化”
台湾南部の大都市・高雄では、2016年からLRTが開通し、2024年には全面的に路線が通ると、市民や旅行者にとって重要な「足」となりました。実際に乗ってみたところ、かつての高雄から大きく変化しているようです。
高雄LRTの軌道周辺の80%以上が「緑化」されている
もう一つ、高雄のLRTが良いと思うのは、軌道周辺の「緑化」です。
高雄のLRTは、架線がなく街中に溶け込むように作られています。さらに、LRTの軌道周辺の80%以上に「緑化」がなされており、これもまた実に合理的で、大きく3つの理由があるようです。
一つ目の理由は、ヒートアイランド現象などの緩和です。軌道周辺を緑化することで、高雄市内のヒートアイランド現象を抑えることが期待できるといわれています。
そして次に、高雄のLRTは架線レスです。前述の通り、空を広く見せることでこの都市の景観価値がさらに高まるため、緑の軌道が望ましかったといわれています。
そして最後の理由が、路線区間との関係です。高雄のLRT区間の中には、高雄の歴史を語る上で重要な古蹟のあるエリアや、かつての高雄臨港線の跡地一体もあります。特に郷愁心が強く、地元の歴史を大切にする高雄人の誇りを汚さぬためにも、やはり緑の軌道が望ましかったようです。
その「緑化」により図らずも、高雄の新しい「映えスポット」になった場所もあります。
それが通称「トトロトンネル(龍貓隧道)」です。2022年に開通した区間の美術館〜内惟藝術中心間の木々の中をLRTが走る姿が「『となりのトトロ』に出てくる木のトンネルに見える」と言われ、一時は台湾中だけでなく、日本からもこの「トトロトンネル(龍貓隧道)」を撮影しにくる人が多くいたそうです。
今はそのブームも落ち着きましたが、先日筆者が現場に行き、実際に撮影した際は確かに圧巻で、しかしどこか穏やかでもあり、改めて「高雄のLRTって、なんだか可愛くて良いなぁ」と思いました。
筆者のかつての高雄に対するイメージは「蒸し暑く、クルマやバイクの運転が荒っぽい」「(失礼ながら)台北より古い感じがする」でしたが、このLRTの登場により、印象が大きく変わりました。今ではむしろ、台湾の経済都市の中で環境への配慮が最も高く、そして未来への持続可能性も最も高い街……それが高雄のように感じます。
もちろん旅行者も気軽に利用できますので、高雄を訪れる方はぜひ利用してみてください。LRTの窓にゆっくり流れる穏やかな時間は、移動そのものが観光になることウケアイです。
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。





高雄のLRTは本当に素晴らしいですね。緑化軌道化は日本の路面電車でも一部行われていますが、こんなに大規模ではありません。環境、景観、歴史性・・美点しか見当たりません。ところでLRTの正式名称ですが、Light Rail Transitかと思います(MRTはMass Rapid Transitですから、Rの部分だけ異なりますね)。日本の都市における軌道系公共交通は、JRや私鉄という地上鉄道と地下鉄を合わせたHeavy Rail、モノレールや新交通システム(これらの多くはその輸送量の大きさから、Heavy Railに含めても良いのかも知れません)、路面電車(Streetcar)、LRTに大別されます。一方、アジアの諸都市では、長編成のLRTや日本の新交通システムと同等の輸送力を持つ自動運転による第三軌条方式の中量輸送システム等、Heavy RailとLight Railの中間に位置するタイプの軌道系交通システムが少なくなく、興味を惹かれます。