名鉄広見線ついに存続断念へ「年間3.4億は無理…」現地で乗ってわかった「廃止やむなし」の切実な事情
岐阜県御嵩町は、名鉄広見線の新可児~御嵩間について「みなし上下分離方式」による存続協議を終了(断念)したと発表しました。年間3.4億円の維持負担やクルマ社会の進展など、現地を歩いて切実な事情を探ります。
現地を歩いて痛感した「クルマ社会」と、存続断念のリアル
初めに訪れたのは、広見線の終着駅となる御嵩駅です。一見すると有人駅のようですが、駅舎内に設けられているのは御嵩町の観光案内所のみで駅員は常駐していません。
券売機で切符を購入したのち、ホームでしばらく待っていると、やってきたのは2両編成のワンマン列車。ローカル線らしい昭和感を漂わせています。目指すは新可児駅。この駅では名鉄犬山方面もしくは、隣接するJR可児駅を利用してJR太多線への乗り換えが可能です。
御嵩駅から新可児駅までの所要時間は12分ほどです。沿線には、最初はのどかな田んぼが広がります。そして明智駅を過ぎたあたりから街中へと入り、可児川を越えたあたりで大きくカーブすると新可児駅に到着します。
車内のレトロな雰囲気は、窓から見える風景とよくマッチしており、非常に面白く感じました。ちなみに、ローカル線ながら1時間に2本程度の間隔で運行しているので、利便性はそこまで悪くありません。
とはいえ、街を歩いてみると存続断念に至った理由について、納得する部分も感じました。それが一般道の整備具合です。可児市には、国道21号を中心に自動車で走りやすい状況が揃っています。
自動車で御嵩駅から新可児駅まで向かった場合の所要時間は15分ほどであり、電車を使うのと、たいして変わりません。また、新可児駅/可児駅の周辺には店舗や住宅も多いため、夜などは新可児までクルマで迎えに行く方が便利で、かつ安全だと感じました。
加えて、3市町の人口は合計で12万人を超えますが、名鉄広見線を利用可能な沿線住民は極めて限られます。それこそ、前出の八百津町は存続協議に名を連ねているものの、町内に広見線はおろか、鉄道は走っていません。
こうしたことを踏まえると、負担を増やすより路線廃止へ向かう方が住民の理解も得やすいという結論になったのではないかと思われます。
沿線3市町では、現在の利用者への配慮や代替の交通機関の準備もあり、2028年度末までの運行継続を名鉄に要望しています。
Writer: 鈴木伊玖馬(乗りもの好きライター)
愛知県生まれ。飛行機が好きで航空博物館などを取材するうち、自動車関係の記事や取材も手がけるようになる。ホンダ「シビック Type R」のようなホットハッチが好み。





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