東武の日比谷線直通用新車70000系、登場で何が変わる? 車両、そして駅も進化へ(写真21枚)

東武鉄道が日比谷線直通用の新型車両70000系を公開。東京メトロの日比谷線用新型車両13000系の兄弟ともいえる車両ですが、異なる個性も少なくありません。この70000系の登場で、東武線と日比谷線はどうなるのでしょうか。

座席幅は拡大、ベビーカーなどへの配慮も

 東武鉄道が2017年4月7日(金)、東京メトロ日比谷線との直通運転用に導入する新型車両70000系電車を、報道陣へ公開しました。

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赤と黒の配色が特徴的な東武の日比谷線直通用車両70000系(2017年4月7日、中島洋平撮影)。

 日比谷線では2017年3月25日(土)、東京メトロの新型車両13000系電車がデビューし、東武線との直通運転も開始。東武70000系は、その東京メトロ13000系の“兄弟”ともいえる車両で、製造会社も同じ近畿車輌(大阪府東大阪市)。多くの点で仕様の共通化が図られています。

 たとえば座席。現在、東武が使用している日比谷線直通用車両20000系電車は座席幅が450mmですが、新型の70000系は、東京メトロ13000系電車と同じ460mmに拡大。座席の端(ドア側)にある仕切りが大型化されたうえ、強化ガラスの採用により見通しがよくなっているほか、車いすやベビーカー利用者などに配慮し、全車両にフリースペースが用意されているのも、東京メトロ13000系と同様です。

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東武70000系は7両編成。
フリースペースの位置は、外から分かるようにされている。
ガラスが多用されている車内。

 このほか、荷棚や車両連結部の扉にも強化ガラスが採用されており、LED照明も相まって車内は明るい印象です。車内の各ドア上部には、17インチワイド液晶の車内表示器が3画面設置されており、路線図や乗換案内、広告などを表示します。これらも東京メトロ13000系と同じ仕様です。

両社で異なる車両デザイン 東武の意図とは?

 共通点が多い東武70000系と東京メトロ13000系ですが、外観は大きく異なります。

 東武70000系は、現在の日比谷線直通用車両である20000系のコンセプトカラー「ロイヤルマルーン」をもとに、「赤」と「黒」ふたつの原色を配したラインを車体にまといます。

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奥が東京メトロ13000系電車。配色だけでなく前面形状なども異なる。
シートの色も赤が基調。優先席は青を基調とする。
ガラスを採用した荷棚。

 正面から見た姿は、グレーが基調で凹凸の少ない東京メトロ13000系に対し、赤と黒を基調とした東武70000系は、フロントガラスからその下部分にかけて、つまり“おなか”の部分が突き出るような形になっています。

「(東京メトロと)協議しながら仕様の共通化を進めましたが、車両デザインについては両社で独自の思想が反映されています。70000系はスピード感のある造形と印象的な色彩で、活力を感じていただけるデザインにしました」(東武鉄道)

 70000系では各車両端部の側面に、赤を基調とした四角い「エナジードット」と呼ばれる模様が描かれていますが、これは“沿線の活力”を表したものとのこと。

「東武の通勤電車は編成の分割・併結が多いことから、前面部については基本的にストンと切り落とした断面のようなデザインにしているので、おなかが出っ張った車両は異色かもしれません」(東武鉄道)

 インテリアデザインも、シートの模様をはじめ、さまざまな違いがあります。東京メトロ13000系は荷棚のガラスに「江戸切子」の文様がつけられているのに対し、東武70000系は無地ですが、一方で隣の車両への扉(貫通扉)に東武沿線の風景を描いた透明のステッカーが貼られており、各車両で絵柄が異なります。

新車導入で、東武スカイツリーラインの「駅が変わるワケ」

 東武70000系と東京メトロ13000系、ふたつの新型車両における仕様共通化で最も大きなポイントのひとつが、乗降用ドア数の統一です。

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貫通扉には、東武沿線の風景を描いた透明のステッカーが。
左が東武の日比谷線直通用20000系、右が東京メトロ13000系。
別の場所になる「日比谷線直通」用の乗車位置案内。

 現在、日比谷線を走っている車両は片側3扉の車両と5扉の車両が混在し、車両によってドアの数が異なりますが、東武と東京メトロの日比谷線用新型車両はすべて1両あたり片側4扉になります。そして、従来車両では1両の長さが18mで、8両編成なのに対し、新型は1両20mで7両編成に変更。車両数は減りましたが、1両あたりが長くなったぶん、列車の定員は大きくは変わらないそうです。

「20m車両への変更は、ホームドアの整備を見据えたものです。ドア配置の違いに対応するホームドアも設置できなくはないのですが、当社における通勤形車両の標準である長さ20m、片側4扉へ統一されることで、ホームドアの整備をより促進することができます」(東武鉄道)

 長さ18mの車両は、日比谷線の仕様に合わせたもので、東武では日比谷線直通用の20000系が唯一の存在です。東京メトロが20m車両の日比谷線への入線が可能と判断したことから、両社ともホームドアの整備を見据え、新型車両のドア配置を統一することになりました。

 東武70000系の営業運転開始は、2017年6月の予定。2019年までに既存の20000系が置き換えられます。また、並行して東武スカイツリーライン(伊勢崎線) 北千住~北越谷間の各駅にホームドアの整備が進められ、うち北千住、新越谷、北越谷の3駅については2020年末までに完了する予定です。

【了】

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4件のコメント

  1. 20000系列は恐らく、ワンマン運転の8000系列を置き換えに使うと思う。
    しかし東武さんはまず、春日部駅を高架にして野田線と伊勢崎線直通をやらせるべきでしょう。

  2. お面と配色以外は同一車輌と考えて良さそうだな。
    小田急4000形とJR-E233常磐緩行仕様の関係と言っていいだろう。
    もっとも、千代田線を巡るこの二形式は「帯の色を変えただけ」のような気がしないでもない。

  3. 70000系が将来10両編成仕業をする際の併結相手が気になりますね。 操舵台車じゃなくて、末端ローカル線でも使える3両編成!となると、、、60000系のバリエーションで出てくるのか、はたまたお約束のステンレス車魔改造(特に中間車の)になってしまうのか、気になりますね。

  4. 先日、東武ファンフェスタ2018の方に伺いました。昨年はお台場旧車天国と重なったため、参加できませんでした。東武ファンフェスタ2018では、電車の撮影会や、普段は立入禁止の場所でもある車両工場等を見学する事ができました。鉄道撮影会では、東武の車両が勢ぞろいし、日比谷線直通用70000系や同線から外された20040系等が展示されました。