中国大陸まで最短2km「金門島」に行ってみた 台湾有事の最前線に? “上陸阻止”施設を前に元軍人が語る【前編】
中国が台湾に軍事侵攻する、いわゆる「台湾有事」。その最前線となりうる、中国大陸から最短2kmの離島・金門を訪れました。そこには今も戦争の痕跡が生々しく残っていました。
台湾から約1時間で行けちゃう「最前線」
金門へのアクセスは台湾の台北、台中、高雄などから直行の航空便が多く運行していて、所要時間は約1時間。あっという間に金門にたどり着くことができます。
筆者はたまたま滞在していた台中から金門へと飛び、事前に一緒に巡る約束をしていた台湾人の友人で元中華民国軍人の孟憲徳さん、陳見安さんと空港で落ち合い、まずは金門の中心となる金城エリアを散策することにしました。
実は筆者、今から8年前の2018年に単独で金門を旅行したことがありました。その際は、中国大陸と金門をフェリーなどで行き来できました。国境を越える際の手続きはあれど、意外と自由で、筆者も金門から海向こうの廈門(アモイ)に日帰りで行きましたし、逆に金門の金城エリアは大陸から遊びに来た中国人でごった返していました。
しかし、今年行った金城エリアはやや静かでした。緊迫する様子はなく穏やかな空気が流れてはいるものの、中国大陸と金門の行き来が厳しく制限されたことで中国人をほぼ見かけず、地元の人たちがのんびり行き来する「ごく普通の地方の離島」といった雰囲気でした。
「鉄杭についた牡蠣は食べられるものもある」
ただし、これは金城エリアに限っての話。金城エリアから離れれば、金門中のあちこちにかつて、中国共産党の中国人民解放軍と何度も繰り返した戦争の痕跡が至るところにあり、幹線道路のあちこちに、軍関係の迷彩柄に塗られた建物もあります。
また、金門の海岸には必ず「鉄杭」が張り巡らされていて、その数は島全体でなんと数万本とも。これは海向こうから戦車などが金門に上陸してくることを想定した防衛策です。今なおこの「鉄杭」が張り巡らされているということは、やはり「いつ中国が攻めてきてもおかしくない」ことを暗に示しているのでしょうか。
ところで、孟さんに「鉄杭には、満潮時に牡蠣がつくことがあり食べられるものもある」と教えてくれました。「軍人時代、長官の目を盗んで、鉄杭の牡蠣をこっそり採ることもあった」と笑っていましたが、そう聞いても穏やかな気持ちにはなれず、ただただ金門の緊張感を前に、やはり最悪のシナリオ「台湾有事」の恐怖を覚える筆者でした。(つづく)
Writer: 松田義人(ライター・編集者)
1971年、東京都生まれ。編集プロダクション・deco代表。バイク、クルマ、ガジェット、保護犬猫、グルメなど幅広いジャンルで複数のWEBメディアに寄稿中。また、台湾に関する著書、連載複数あり。好きな乗りものはスタイリッシュ系よりも、どこかちょっと足りないような、おもちゃのようなチープ感のあるもの。





コメント