F-35もパトリオットも「いいよ」の手のひら返し!? 「カネ出せカネ」と欧州に手厳しいトランプを“手玉に取った”2か国とは?
欧州各国を痛烈に非難し「トランプ劇場」に終わったNATO首脳会談ですが、例外的にトランプ大統領が融和的な姿勢を見せた国が2つあります。なぜトランプ大統領を“手玉”に取れたのでしょうか。
「ロッキード・マーティンとかにはまだ話してないけど、うまくいくだろう」
トランプ大統領が好意を示したもう一つの国がウクライナです。ウクライナはNATO加盟国ではありませんが、NATOの活動範囲であるヨーロッパの防衛についてウクライナ抜きで話し合いをしても意味が無いことから、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領をはじめとする代表団が首脳会談に招聘されました。
ゼレンスキー大統領は2025年2月28日に訪米し、トランプ大統領と初めて顔を会わせていますが、この際両大統領が激しい口論を行っており、アメリカのウクライナ支援はおしまいなのではないかと見る向きもありました。その後もトランプ大統領はウクライナに侵攻したロシアに好意的な姿勢を示していたのは周知のとおりです。
しかし、このNATO首脳会談でゼレンスキー大統領と個別会談を行ったトランプ大統領は、「パトリオット」防空ミサイルシステムのウクライナでのライセンス生産を容認すると伝えています。
ロシアの弾道ミサイルの攻撃と、弾道ミサイルを迎撃する防空ミサイルシステムの弾体の枯渇に悩まされているウクライナにとって、この話は大きな福音でしょう。
トランプ大統領も渋々容認したというわけではないようです。パトリオットの生産を担当しているロッキード・マーティンとRTXには自分の決断をまだ伝えていないとしつつも、「だが、うまくいくだろう」と笑顔で述べたと報じられています。
トランプ氏の心を動かしたものは何か?
トランプ大統領の突然にも見える態度の変化の真意はわかりませんが、トルコとウクライナには「自国の技術で自国を守る」という確固たる意志を示しているという共通点があります。
トルコはF-35計画から排除されて以降、開発を進めていた国産戦闘機「カーン」の開発を加速。またF-35Bの搭載を計画していたトルコ海軍の強襲揚陸艦「アナドル」にはF-35Bに代わる固定翼UAS(無人航空機システム)の「バイラクタルTB3」と、ジェット機型UAS「クズルエルマ」の搭載を計画しており、艦上運用試験を進めています。
一方のウクライナも「トマホーク」巡航ミサイルのアメリカからの供与が沙汰止みになってしまったものの、国産巡航ミサイル「フラミンゴ」を実戦に投入するとともに、UASを含めた国産無人装備品を活用した戦い方で、アメリカを含めた世界を驚かせています。
西洋には「神は自ら助くる者を助く」(他人に頼るのではなく、自分で努力を重ねる者にこそ神や天が加護を与えてくれる)という格言があります。トルコのF-35計画への復帰はアメリカ連邦議会やイスラエルの反対、ウクライナのパトリオットのライセンス生産は、仮に容認されても軌道に乗るまで数年かかるといった問題があるのも確かですが、トランプ大統領の心を動かせるのは「自ら助くる力」を持った国だけなのかもしれません。
Writer: 竹内 修(軍事ジャーナリスト)
軍事ジャーナリスト。海外の防衛装備展示会やメーカーなどへの取材に基づいた記事を、軍事専門誌のほか一般誌でも執筆。著書は「最先端未来兵器完全ファイル」、「軍用ドローン年鑑」、「全161か国 これが世界の陸軍力だ!」など。





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