船の横から「チョロチョロ」出ている水の正体は? 漏れでも故障でもない“謎の穴”の重要な役割

港に停泊している船の横から、チョロチョロと水が流れ出ているのを見たことはありませんか?「水漏れ? 故障?」と不安になるかもしれませんが、実はあれ、船が正常に機能している証拠なのです。

海水で熱交換、そして“呼吸”のように排出

 船のエンジンを冷やす仕組みの定番は「海水冷却」です。船底に設けられた海水取入れ口(キングストン弁)から海水を吸い込み、海水こし器でゴミを取り除いたあと、ポンプで船内に送り込みます。

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海上保安庁の巡視船「おおすみ」。船体側面から水が出ているのがわかる(乗りものニュース編集部撮影)

 この海水は、多くの船ではエンジン内部に直接触れるわけではありません。エンジン側を循環する清水(真水)と、外から取り入れた海水を「熱交換器」と呼ばれる装置で熱だけやり取りさせ、エンジンの熱を清水から海水へ移す仕組みになっています。海水は熱を受け取った後、配管を通って船外へ排出されます。

 舶用エンジンの整備関連情報では、清水の水温は80〜90度前後で管理される例があります。この熱を外に逃がしてくれる海水のおかげで、エンジンは過熱を防ぎながら運転を続けられるのです。

 ボートなどの船外機では、外から取り込んだ水をエンジンの冷却に使う方式もあります。ヤマハ発動機の公式情報によると、船外機は冷却水の流れを目で確かめられるよう、冷却水の一部を空中に吐き出す仕組みがあります(検水と呼ばれます)。船外機でチョロチョロと水が出ていれば、冷却水が正常に流れていることを確認する目安にもなるのです。

 冷却水のほかにも、船からはトイレなどから出る汚水、船底にたまる油まじりの水「ビルジ」、船のバランスを保つために使う「バラスト水」など、さまざまな水が関係します。これらは種類ごとに規制が異なり、油を含むビルジは油分濃度や排出海域などの基準が定められ、バラスト水は生態系への影響を防ぐための国際条約にもとづく管理が求められます。

 つまり、船から出る水は何でもそのまま海へ流してよいわけではなく、海を汚さないためのルールのもとで扱われているのです。

 ふだん何気なく見ている船からの“チョロチョロ”。その多くは、エンジンや発電機を冷やす水など、船の内部を支える仕組みと関係しています。さらに、船から出る水には種類ごとのルールもあり、海の上の小さな流れにも、機械を守る工夫と環境を守る考え方が詰まっているのです。

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