フリーゲージトレイン導入見送り、どうなる長崎新幹線 鍵は佐賀県?

JR九州が長崎新幹線へのフリーゲージトレイン導入を見送る方針であると報道されました。長崎新幹線は今後、どうなるのでしょうか。そもそもフリーゲージトレインは、なぜ必要だったのでしょうか。

新幹線と在来線を直通する画期的システム…だった

 長崎新幹線(九州新幹線西九州ルート)へのフリーゲージトレイン導入をJR九州が見送る方針であると、2017年6月、新聞など複数のメディアが報じました。割高と予想される運行コストなどが理由で、7月にも正式発表されるといいます。もし実際に見送られた場合、長崎新幹線は、そしてフリーゲージトレインは今後、どうなるのでしょうか。

「フリーゲージトレイン」は和製英語です。日本語で表すと「軌間可変電車」。「軌間」は2本のレールの間隔を意味します。

 新幹線の軌間は1435mm(4フィート8.5インチ)、在来線の軌間は1067mm(3フィート6インチ)です。それぞれで軌間に合った車両が使われているため、そのままでは直通できません。現在もほとんどの新幹線と在来線は乗り換えが必要です。そこで「車両側の車輪の取り付け幅を変化させ、新幹線と在来線を直通運転しよう」という方法が検討されてきました。これがフリーゲージトレインで、実現すれば、乗り換えなしで目的地まで到達できます。

 新幹線と在来線を直通する方法としては、山形新幹線「つばさ」や秋田新幹線「こまち」のような「ミニ新幹線」方式もあります。これは在来線区間の線路を新幹線と同じ軌間に改造して、新幹線車両を直通させる方式です。軌間は新幹線の、車両サイズはひとまわり小さい在来線の規格で整備します。ミニ新幹線方式は基本的に、従来からある在来線のトンネルや鉄橋をそのまま使えるため、新幹線(フル規格新幹線)の新路線を造るほどの高額なコストはかかりません。

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九州で走行試験を行っていたフリーゲージトレインの三次試験車両(2014年11月、恵 知仁撮影)。

 しかし、ミニ新幹線方式は、在来線の線路改造費が発生するうえに、工事中は列車を運休する必要があります。また、普通列車に使う車両も、改造後の線路に対応させねばなりません。ですがフリーゲージトレインを使えば、軌間の変更を車両側で対応できるため、在来線の軌間改造は不要となり、もっと低コストで新幹線との直通運転ができます。普通列車も既存車両を使えます。

 どちらの方式も、在来線区間の速度は従来と同じか、少し上がる程度です。スピードよりも直通の利点を重視した方法といえるでしょう。

 新幹線と在来線の直通運転を実現するにあたり、線路と在来線車両にお金がかかるミニ新幹線方式より、車両だけ高額なフリーゲージトレインの利点が大きいと考えられてきました。車両が準備できれば、直通運転におけるハードルが大幅に下がります。

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コメント

24件のコメント

  1. 軸重、ゲージ、地盤。スペインで成功しても日本で成功しないのはある意味当然。まあ耐久性のない電車を無理に走らせて3桁単位の死者を出すよりましか。

    • それにしてもフリーゲージトレインでここまで難儀するとはな。
      鉄道模型のようにはなかなかいかないな。
      新幹線と在来線の行き来が自在になれば、平行在来線の問題にも一石投じることが出来るかもしれないのに。

  2. 佐賀県にはフル企画がんばって欲しい。将来日本全体の新幹線計画にか変わりますし九州内ならメリット低いが、中部、関西、中国含めるとそうでもないこと、海外では意外に人気あることなどふまえると、英断をと思う。

    • >九州内ならメリット低いが、中部、関西、中国含めるとそうでもないこと

      それははっきりいって疑問。
      すでに佐賀空港があるし、しかもその佐賀空港からも大阪線と名古屋線がとっくに廃止になっている。
      そんな状況で、その程度のことをメリットを言われても…

  3. フル規格の部分を狭軌で開業させたらそれでいいのではないか?そうすればリレー式にする必要もない。山陽新幹線への直通はそこまで重要ではないような気もする。狭軌でどのくらいまで速度を出すことが可能かはわからないが、現時点よりも所要時間が短縮できるのは確実だろうし。

    • 一理だが、長崎県を説得できるか?

    • >現時点よりも所要時間が短縮できるのは確実だろうし

      無理。

      それだと「所要時間か利便性か」という話になる。
      所要時間を短縮させようと思えば行き違いを極力減らさねばならず、結果的に閉塞区間が長くなって本数が減る。
      本数を確保しようと思ったら行き違いを増やさねばならないことからは逃れられず、結局速度を犠牲にすることになる。

      フル規格区間でそれではまさに本末転倒。

    • てってってさん、
      多分スーパー特急(昔の設定で最高200km/hだったかな)という事ですよね? ただ長崎県がスーパー特急で納得しますかね?

      GKさん、
      行き違いというのはどこかが単線と想定してますか? 長崎側が在来線のままとか?
      てってってさんの言うのがスーパー特急の場合、長崎県側の新幹線規格新線はフル規格の路盤だから当然複線、在来線は記事内画像でも複線化+既に複線だから、単線区間は無し。260km/h出せなさそうだし他の新幹線へ直通は無理だけど、武雄温泉の乗換えやもたつく軌間変換もなく、ミニ新幹線化に次いで速くはなりそう。

  4. 長崎本線複線区間を単線並列として片方を標準軌に改軌すればよい。
    そして新鳥栖駅で分併設備を設けてミニ新幹線で直通すれば費用対効果も高かろう。
    山陽区間直通させても320km/h運転の実績もあり、8両編成同士ならフル+ミニで併結運用させても16両対応の山陽区間ならホーム有効長の問題はない。
    (あまり営業線多方面分岐を扱ってない現状のCOMTRAC&SIRIUSがまともに新在直通運転を捌けるかはまた別の問題としてありますが…一方向のみで運行リスクを徹底的に排除したいJR東海が難癖つけそうですね)

    需要に応じた設備にすべきです。
    ここでフル規格化など佐賀県のごね得を許してはいけない。

    • これが現実的な落とし所といった感じですね。
      いまさら完全なフル規格なんて、長崎県民以外は誰も納得しないでしょう。
      これだと乗換も発生しないし、FGTだと2回も必要な軌間変更によるタイムロスもないから、在来線扱いだから最高速度は多少落ちるけど、『コストに見合う』時短効果はあるはずです。

    • >フル規格化など佐賀県のごね得

      それじゃあ佐賀県がフル規格化を求めているように映る。

      佐賀県の本音は「新幹線なんか要らない、『かもめ』があれば十分」なのであり、事実誤認を疑われる。

      正直言って、自分も長崎に新幹線は要らないと思う。
      急ぐ人間は長崎自動車道を使えばいい。

    • もかさんのミニ新幹線案に同意します。

      乗り入れてないJR東海とは仲違いしてでも(という訳にはいかないか、線路つながってるし)、秋田新幹線の「単線並列・一部三線軌で行き違い確保」区間を持つJR東日本に、運行ノウハウや線路の保守などの協力を求めれば良いでしょう。

      佐世保線特急が博多直通で残る場合はそのダイヤが苦しいかもですが、落とし処として最良と思います。仮にその後に佐賀県内もフル規格にするなら、在来線はミニの標準軌撤去して身軽な三セク(複線は結構負担だと思う)に移行すればいいし。

      GKさん、
      私は「佐賀県のゴネ得」というのは、佐賀県以外(国、長崎県?、JR九州?)の負担だけで佐賀県内のフル規格を実現することを指してる、と読みました。
      並行在来線や運賃の問題は残るにしても、誰かがフル化の負担してくれるのを待ってるのでは、ということでしょうね。でも長崎熊本鹿児島と北海道や北陸各県からは、「佐賀はズルい!!」の大合唱になりますな。

  5. そもそもが新鳥栖~長崎がたった100kmほどしかないのに、完全フル規格の新幹線はどう考えても『オーバースペック』。
    こんな短い距離ではいくら『高速鉄道』でも時短できない。

    なのでせいぜいいいところ秋田・山形のような『ミニ新幹線』が現実的でしょう。
    少なくともこれで近畿中国地方からは乗換なしで長崎にいけます。
    たいした距離もなく時短効果が薄いんだから、これで十分です。

    • というわけで、佐賀県はフル規格化に反対なのだとも聞いたこともあったのだが・・・?
      現状の特急や高速バスでも大して時間をかけずに福岡市内へ出れるのに、なんでフル規格の金を出さなきゃいかんのよ?というのが言い分だったらしい。

    • 正直いって、中国エリアから長崎まで用のある人間はごく少数なので車輸送のほうが現実的。
      大阪エリアに用のある人間は長崎空港から飛行機で行く。

  6. 長崎新幹線はそこまで必要あるとは思えない。
    これより先にJR北海道問題を和らげるために北海道新幹線札幌延伸が優先だと思う。

    • 長崎新幹線の必要性については私も疑問です。
      ですが同様に、札幌延伸も・・・正直?ですね。勿論延伸されれば便利ですが、正直JR北海道に委ねるのは感心できない(ノウハウ的にも、安全面からも、経営体力的にも)、航空に対してアドバンテージが取れるのは東北(仙台)~道内ぐらいではないかという予測、といった点から疑問視しています。
      仮に延伸したとしても新函館北斗~札幌間はノンストップか、或いは小樽エリアの駅1ヶ所程度に停車の便が殆どではないかと。
      あとの新規設置駅に停めるだけの価値ありますかね・・・?
      事実上、札幌特化の乗り物になり、道民の支持を得られるかどうか。

  7. 佐賀県の地元負担金を長崎県が肩代わりするからフル規格で作れ,その代わり鳥栖以外の佐賀県内の停車は絶対に認めんって,長崎県知事も言っちゃえばいいのに.そうすれば,新幹線に停まって欲しい武雄市や嬉野市は長崎県側に着いて,佐賀県としても意思統一が出来なくなって,結局は金出さざるを得なくなるよ.佐賀市民の個人的な意見では,現状の安くて早い特急で十分だけどね.

    • 確かに手っ取り早い。
      が、長崎県だってあんまり金がないだろうし、佐賀県だって「金をだしてやる」といわれてホイホイするわけにもいかないだろう。
      立場的にね。

      暴論を承知で言うと、長崎県としては、“フル規格の線路と車輌”が県内にあればそれでお腹一杯なんじゃないか?という気がしている。言い換えると、例えば博多へ行くのに乗り換えが10回ぐらいあろうと構わない、とさえ考えているのではないか。要は体裁や見栄、話題性としての新幹線フル規格であって、利便性云々はあまり感心が無い、という印象さえ抱いてしまう。

  8. そもそも長崎まで新幹線を引くメリットが無い。
    複線化と線形の改良、特急車両のさらなる改良程度で十分だと思う。
    たかだか十数分短縮のために莫大なコストと、料金の高騰にメリットが絶対にない。

    • それは在来線複線化等が新幹線スキームと同様に国に手厚く負担してもらえたらの話。現状では在来線複線化事業はほぼ地元のみの負担にならざるを得ず、しかもJRにその負担意思はなく、佐賀、長崎両県にそこまでの余裕は無い。整備新幹線として国の予算を執行してしまっている時点で選択の余地はない。

    • さらに有明線の特性上、複線化&良線形化を達成するための土地の確保が困難を要する事に加え、沿線経済との折衝を一からやらねばならないことを考えれば、在来線複線化は選択肢としては最悪と言えると思う。

  9. JR九州100%負担(もしくは国との折半)にして佐賀県内ノンストップでいいんじゃない?スピードアップは確実にできるよ。

  10. 大変すばらしい整理です。ただ佐賀県の負担800億円は交付税参入後の実質負担と思いますが。