バスの花形「2階建て」復権なるか 海外製の新型、続々導入のワケ 既存車の今後は

観光バスや高速バスで活躍してきた2階建てバスは、2010年に国産車両の製造が中止されてから増備が進んでいませんでしたが、2016年、はとバスが海外製の新型を導入。これをきっかけに空港連絡バスや夜行高速バスにも登場しています。今後はどうなるでしょうか。

デメリットはあるが…大手も導入検討

 最後に国産2階建てバス「エアロキング」と「アストロメガ」を比較してのメリット、デメリットを考えてみます。

「大量輸送の実現」「バリアフリーへの対応」という点は双方の車両で共通ですが、「アストロメガ」には加えて、「室内空間の広さ」「(最新の運転支援装置による)安定した乗り心地」「トランクルームの広さ」がメリットとして挙げられます。

 特に「バリアフリーへの対応」については、高速バスのバリアフリー化が国土交通省から求められており、当初この対象外であった高速バスの適用除外認定車両についても、2020年までに25%をバリアフリー化することが目標として掲げられています。費用対効果を検討する必要はもちろんありますが、このタイミングで日本市場に合った2階建てバスの登場は、バス会社にとっては「願ったり叶ったり」かもしれません。

 また、「室内空間の広さ」については、「アストロメガ」は車体デザインの関係上、「エアロキング」と比較して2階席の有効面積が広いことが挙げられます。前後12列の座席を配置しても、通常車両の10列とほぼ同じシートピッチが確保できており、この点は乗客にとってもメリットであることは間違いないでしょう。

 一方で「アストロメガ」には、「車両価格が高い」「客席に荷物棚がない」といったデメリットも。車両価格は通常の観光バスのおよそ2台分とされています。また、手荷物を車内に持ち込む場面が多い空港連絡バスや高速バスにおいて、荷物棚がないのというのは大きなデメリットになるのではないでしょうか。京成バスでは、1階客室の約半分を荷物棚にあてていますが、車内の荷物スペースをどのように確保するのかが今後の課題といえましょう。

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京成バス「有楽町シャトル」の「アストロメガ」1階には荷物棚が設置されている(須田浩司撮影)。
「アストロメガ」のトランクルーム。実際には写真の倍程度の広さがある(中島洋平撮影)。
「エアロキング」で運行されるジェイアールバス関東「プレミアムドリーム号」。「アストロメガ」に比べ車体前面に傾斜がついている(須田浩司撮影)。

 国産2階建てバスの製造中止から8年、ようやく日本市場に合った2階建てバスが登場し、普及の兆しも出てきました。聞くところによると、日本国内のシートメーカーが「アストロメガ」に対応した4列タイプ以外のシートの開発を進めているほか、ある大手バス会社でも、既存の2階建てバスの代替車両として「アストロメガ」導入の検討を進めているそうです。今後、「大量輸送の実現」「高速バスのバリアフリー化」という目的で、再び2階建てバスが脚光を浴び普及することになるか、そして日本国内のバスメーカーは、この動きに今後どう対応していくのか、注目していきたいところです。

【了】

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Writer:

自称「高速バスアドバイザー」。運行管理者資格所有。高速バス乗車1100回以上。 紙原稿・ネット原稿・同人誌・ブログなどを通じてバス・鉄道を中心とした 「乗りもの旅」の素晴らしさを伝える活動を行う。北海道在住。

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コメント

9件のコメント

  1. 4台の内2台が出火炎上したメガライナーは黒歴史ですか。

    東京-つくばで走ってた頃に乗ってみるんだった。

  2. ある大手というのはJR系の何処か、もしくはウィラーだろうか。

    京成の有楽町シャトルに乗ったけど、意外に乗り心地良かったと思う。これで3列シートバージョンが出来れば“アリ”と判断した。

    メンテの都合はどうなのかはさておきね。

    • ウィラーはありえそうだが、JR系は多分なさそう。コストとラゲージスペースが無い点が解決出来ない限りは。

  3. これだけニーズがあるのに、日本のメーカーは何を怠慢してるのだ!

    後追いで慌てて開発するなよな。

  4. BKGエアロキングが新型として発表された時に縦6エンジン搭載によるホイルベース短縮、新長期規制対応など、中々表に見える骨格までチェンジできぬ台所事情は察してましたが、あまりにも早い決断と言うか?生産中止を決めてしまったのですね

    比較的年式の新しい方のBKGキングですら腫れ物扱うようなJRバスの配車にはかなりの危機感が見て取れますが

    自分はスカニアやボルボにベンツが日本向けに代理店を立ち上げ海を渡ってきた型式シャシの日本の道路事情に対する改造の配慮の無さから特にこの2階建てバスも期待はしていません

    • 国産勢が第五輪20t超クラスの重トラクタやらなくなってしまったようで、

      この辺の重量輸送向けは特にスカニアがガンガン売り込んでる様子。

      昔と違ってある程度は本気なんではないかと。易々と食い込まれるてのもどうかと思うが。

    • あるメーカーがカプラを使い廻して13年規制車の3軸ヘッドの予備検査を通してたのはその辺りの事情なんでしょうか?

      いよいよ国産牽引車も28年規制に対応するやスカニアにバトンタッチと言ったとこでしょうか?

      以前輸入されていたスカニアは〇野ブランドで型式も似た型式で認定されてましたが?また〇野ブランドが窓口なのでしょうかね

  5. そう言えば最近ロンドン位でしか2階建てバス運用されてるの見掛けないよな

  6. そもそも需要が全くないと判断した国内メーカーの誤算。バスは老朽化が早い。あと数年で国産二階建てバスは全く使えなくなってしまう。それでも国内メーカーは新モデルを開発するつもりはないんだろうか?

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