噴火時も出動、陸自75式ドーザのひみつ 「頑丈、速い、力持ち!」を実現する工夫とは

銃弾や砲弾が飛び交う戦場での活動を想定し、装甲板という鎧を着こんだブルドーザーはしかし、かつての火山噴火の現場で大きな活躍を見せました。その作りにも、現場での運用を考えたさまざまな工夫が施されています。

あの雲仙普賢岳の噴火警戒下を出動

 2018年4月19日(木)、250年ぶりに宮崎県にある硫黄山が噴火しました。その近傍には、ここのところ連続的に爆発的噴火を繰り返している霧島連山新燃岳もあります。

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陸上自衛隊の75式ドーザ 作業フォーム。製造は「コマツ」こと小松製作所(柘植優介撮影)。

 他方、記憶に新しいところでは年初の1月23日、群馬県の草津白根山でも噴火が起き、スキー訓練中だった陸自隊員ひとりが墳石の直撃を受けて亡くなっています。また、2014年9月の御嶽山(長野県/岐阜県)における噴火でも、噴石の直撃を受けて多数の登山者が死傷しています。

 そのような時にいち早く救援に駆け付けられるよう、陸上自衛隊では2018年4月現在、硫黄山や新燃岳の周辺に位置する都城駐屯地(宮崎県都城市)や国分駐屯地(鹿児島県霧島市)に、既存の装輪装甲車に加えて悪路走破性に優れた装軌(いわゆるキャタピラ)式の73式装甲車を北海道から移管、配備しています。

 このように噴火に備える準備を陸上自衛隊としては行っていますが、今後火山活動がさらに活発化すれば、73式装甲車同様に装甲板で覆われた防御力の高い車両の増勢が必要になると思われます。そのひとつとして、75式ドーザという選択肢もありうるでしょう。

 この75式ドーザ、簡単にいえば装甲ブルドーザーで、元々は銃砲弾飛び交う最前線でも障害処理が可能なよう開発されたため、車体を防弾板で囲っているのです。そのため通常のドーザーよりも防御力が高く、実際に1992(平成4)年に発生した雲仙普賢岳(長崎県)の噴火災害では、噴火の予兆が続く危険ななかで、火砕流によって荒廃した島原市郊外にて火山灰土や瓦礫などの撤去にあたりました。

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1件のコメント

  1. これの後釜として施設作業車が開発されたけど、芳しくない話も聞こえてきて残念。
    75式が再生産されたり。