陸自の新型試作りゅう弾砲、特徴や運用は? 「装輪」「155mm」「りゅう弾」の意味

「牽引式」の後継が「装輪」になったもっともなワケ

 なぜ牽引式の「155mmりゅう弾砲(FH70)」の後継が牽引式のりゅう弾砲や、「99式自走155mmりゅう弾砲」のような装軌式の自走砲でないのか、という疑問をお持ちの方もおられるのではないかと思います。

 現代の砲戦では砲の発射位置を探知する対砲レーダーや、無人機をはじめとする観測装置の進化により、砲は発射後に発射した陣地から速やかに移動しないと、生き残ることが難しくなっています。前にも述べたように「155mmりゅう弾砲(FH70)」には水平対向エンジンが搭載されていますが、そのエンジンで自走できる距離は短く、現代の砲戦で必要とされる距離の移動は困難です。

 装軌式の自走砲は装輪式の自走砲に比べて、砂漠やぬかるんだ土地などでの走行性能が高く、またその場で360度旋回できるため、砲の向きを変えやすいという長所もあります。ただ装軌式車両は道路の長距離自走には適しておらず、また装輪式車両に比べて重量が重いため、大型の輸送機でないと空輸ができないといった短所があります。

 こうした理由からフランス陸軍やインドネシア陸軍が採用した「カエサル」、スウェーデン陸軍やノルウェー陸軍が採用した「アーチャー」など、装輪式自走砲を採用する国が増えつつあります。また韓国陸軍は装軌式の「K9」自走砲と並行して、トラックに105mmりゅう弾砲を搭載する「EVO-105」の導入を進めています。

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フランス陸軍などが採用している155mm装輪自走砲「カエサル」(竹内 修撮影)。
スウェーデン陸軍などが採用した「アーチャー」155mm装輪自走砲(竹内 修撮影)。
韓国陸軍が導入する「EVO-105」105mm装輪自走砲(竹内 修撮影)。

 陸上自衛隊は「203mm自走りゅう弾砲」を順次退役させ、北海道に配置されている北部方面隊に「装輪155mmりゅう弾砲」を配備する計画を立てています。道路を高速で自走し、おそらく航空自衛隊のC-2輸送機にも搭載できる「装輪155mmりゅう弾砲」の配備により、陸上自衛隊は砲の定数の削減をカバーできると考えているようです。

【了】

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コメント

1件のコメント

  1. アーチャー程凝ってなく(アーチャーには自動装填など豪華装備)、カエサル程割り切ってなく(カエサルは普通の6輪トラック)。いかにも自衛隊らしい中途半端な装備だなこれ