カナダ新戦闘機めぐる紆余曲折 F-35開発に出資も導入は白紙 どうしてこうなった?
迷走の影響は日本にも…?
冒頭で述べたロイターの報道通りにことが進んだ場合、ボーイングだけでなくロッキード・マーチンの提案したF-35Aも不利な立場に置かれることになりますが、仮にカナダがF/A-18A/B「ホーネット」の後継機にF-35Aを選ばなかった場合、同国では大きな経済的な問題が起こる可能性があります。
前にも述べたように、カナダはF-35の共同開発計画に出資していました。その見返りとして、100社を超える同国企業がF-35の生産に参画しており、その生産額は800億円を超える規模となっています。ロッキード・マーチンはカナダがF-35Aを導入しなかった場合、現在カナダ企業に発注しているF-35の部品の製造などの仕事を引き上げると何度かほのめかしており、もしこれが実行された場合、カナダの産業にとってのダメージは小さなものではありません。
実のところこの問題は、日本にもまったく無関係ではありません。航空自衛隊が運用している約200機のF-15J/DJのうち、近代化改修を行なっていない約100機に関しては近い将来、後継機の導入が開始されますが、この後継機にはF-35A、またはF-35AとF-35Bの導入が有力視されています。
生産数の増加にともない、F-35の価格は順調に下降していますが、アメリカ国防総省は仮にカナダがF-35A 65機の導入を行なわなかった場合、すべての導入国のF-35の機体価格が0.8%から1%程度上昇するとの見通しを示しています。もしそうなった場合、将来日本が導入するF-35も、若干とはいえ値上がりする可能性があるのです。
カナダの公共調達省は提案内容を吟味した上で、F/A-18A/Bの後継機を2021年から2022年を目途に発注するとしていますが、カナダ政府がどのような結論を出すかは、カナダ国内だけでなく、全世界から注目されています。
【了】
ボーイング社が強引とのこと。ゴーイングか。