「熊本空港アクセス鉄道」実現か? 一度は「断念」された構想が再浮上したワケ

かつて検討されながら実現しなかった「熊本空港アクセス鉄道」が注目されています。一度は「断念」された構想であるにも関わらず、なぜ再浮上したのでしょうか。

利用者見込めず検討を凍結

 現在は「阿蘇くまもと空港」という愛称を持つ、熊本空港。その名の通り阿蘇山の麓にあり、熊本の「空の玄関口」です。現在、この空港と熊本市を結ぶ鉄道の構想が浮上しています。

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かつての検討案では豊肥本線から分岐する新線の建設が考えられていた(2018年3月、草町義和撮影)。

 実は10年以上前にもアクセス鉄道が検討されたものの、このときは事実上断念されています。一度は結論が出たはずなのに、なぜここに来て構想が再浮上したのでしょうか。

 熊本空港は戦時中、現在の熊本市東部の長嶺南地区に陸軍の飛行場として開設。戦後の1960(昭和35)年に民間空港としてオープンしました。しかし、周辺の市街地化が進んだため騒音の問題が懸念されるようになり、航空機のジェット化も難しいといった課題を抱えるようになったのです。このため1971(昭和46)年、益城町と菊陽町の境界線付近に移転し、いまに至っています。

 ただ、現在の熊本空港は熊本市の中心部から直線距離でも約15km離れていて、アクセスは旧空港より不便になりました。そこで熊本県は2004(平成16)年、アクセス鉄道の検討を始めました。

 しかし、当時の検討では総事業費が286億円と試算。自治体などが線路施設を建設、保有し、列車を運行する鉄道事業者に施設を貸し付ける「上下分離方式」の場合、少なくとも224億円は地元負担になることが見込まれました。地方の自治体にとっては、おいそれと出せる金額ではありません。

 また、アクセス鉄道の利用者数も1日あたり5000人が必要なところ半分の2500人しか見込めないことが分かり、熊本県は2008(平成20)年に検討の凍結を表明。アクセス鉄道の建設を事実上断念したのです。

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コメント

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4件のコメント

  1. 豊肥本線をうまく使えば熊本のみならず、大分へのアクセスも向上するのでは?

  2. 昔は三里木駅から分岐する案だったが、今は光の森駅からのほうが実用的で速い。
    費用にしても空港関連施設なので、空港会計特別会計を使うように航空局に働きかければ良い。
    今、大規模な空港工事は福岡空港しかないので、余っているはず。

    • たしかに、掲載された地図の案は明らかに遠回りで到底お勧めできるものではありませんね。

  3. 鉄道よりも、まずは熊本都心部~熊本インター~空港を経由して「中九州横断道路」につながる高規格道路の整備の方が重要ではないだろうか。市内から空港へは一般道路しかなく、バス運行の定時性にも欠けているのではないだろうか。利用者が増えたとはいえ、都心部へ直結していない鉄道よりも直結できているバスの方に注力した方が賢明。福岡などへの高速バスの定時性向上にも役立つ。バスに関しては便数をもっと増やせばいいだけのこと。