航空機メーカー再編へ、エアバス×ボンバルディア「A220」発表 その時ボーイングは?

エアバス×ボンバルディアを受けボーイングは…?

「Cシリーズ」を自社のラインナップに加えれば、「A318」を運用しているエアラインにその代替機として「CS-100」を提案できるというのが、エアバスが「Cシリーズ」の事業参画を目論んだ理由のひとつと見られていますが、エアバスは「Cシリーズ」への事業参画を突破口にして、将来的にボンバルディア・エアロスペースを傘下に治めたいのではないかとの観測もなされています。

 ボンバルディア・エアロスペースは当初、消極的な姿勢を示していました。しかしボーイングからの提訴を受けて、「敵の敵」、つまりボーイングの最大のライバルであるエアバスを「味方」にすることが得策と考えたのか、一転してエアバスとの提携に積極的な姿勢を示し、ボンバルディア・エアロスペースは2017年10月16日に、「Cシリーズ」での事業協力に合意します。

「Cシリーズ」の開発と製造は、ボンバルディア・エアロスペースとケベック州投資公社が共同で設立した「CSALP(C Series Aircraft Limited Partnership)」が行なっていますが、エアバスは2018年6月8日にCSALPの株式の50.01%を取得して事業提携が成立。これにより7月10日付で「Cシリーズ」は名称を変更し、冒頭で述べたように「CS100」は「A220-100」、「CS300」は「A220-300」として、新たなスタートを切っています。

 エアバスは関税のかからないアメリカ国内にA220の生産ラインを開設して、アメリカ国内でのセールスを拡大していく方針を打ち出し、「737」や「A320」、「A220」が属する、座席の中央に1本の通路を配した、「単通路型旅客機」市場で、ボーイングと雌雄を決する姿勢を示しています。

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エアバスの「A320neo」と熾烈なシェア争いを繰り広げているボーイングの「737MAX」(竹内 修撮影)。

 これに対してボーイングは2018年7月5日に、ブラジルのエンブラエルと合弁会社を設立すると発表。関係当局から認可されれば、エンブラエルの旅客機部門は、事実上ボーイングの傘下に入ることになります。

 2018年1月に退任したエアバスのジョン・リーヒCOOは、2017年6月に開催された「パリ航空ショー」の記者会見で、「20年後の民間機市場は、エアバス、ボーイング、中国の三つ巴の争いとなる」と、予言めいた見通しを語っていますが、ボンバルディアがエアバス、エンブラエルがボーイングとそれぞれパートナーシップを結んだことで、その予言が一歩現実に近づいたのかもしれません。

【了】

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