戦車と自走砲、なにが違うの? 総火演の見方も変わるおさえておきたい基礎知識

大口径の砲を搭載して装甲化されている戦車と自走砲。一見すると似た形状をしていますが、実はまったく違う兵器です。どこがどう違うのでしょうか。

そもそも、戦車とは?

 爆音を轟かせながら射撃をする戦車。その射撃は地面を揺るがし、敵に向かってまっすぐ伸びる砲身からの発射音は、お腹の底まで響いてきます。対する自走砲は、射撃時の音は戦車よりも小さく、射撃する時の砲の角度も戦車より上向きです。いったい、両者の違いは何なのでしょう。

Large 180810 cannon 01

拡大画像

120mm滑腔砲から徹甲弾を射撃する「10式戦車」(矢作真弓撮影)。

 まず戦車とは、装軌(いわゆるキャタピラー)式の装甲車で、主砲には口径の大きな105mmライフル砲や120mm滑腔(かっこう)砲といった戦車砲を装備しています。現代における戦車のそのおもな用途は、敵の戦車を撃破することです。

 そもそも戦車は、第一次大戦で多くの犠牲を出しながらも、非常に長い期間に渡って敵同士が睨み合っていた「塹壕(ざんごう)戦」を打開すべく開発された兵器です。

 塹壕とは、低い所では腰くらいの深さ、深い所で2m以上も深く地面に掘られた溝のことを指します。

 この塹壕は敵味方両軍が平行して掘り進めていて、塹壕から飛び出すと敵に攻撃されてしまいます。手榴弾を使って攻撃することもありますが、手榴弾は深さ50cm以上の穴のなかに入れてしまえば、殺傷効果はかなり薄くなります。手榴弾は本体そのものが破裂して、その破片を周囲に撒き散らすことによって殺傷効果を得る兵器であるため、穴に入れるなどして回りを囲ってしまえば、その効果はほぼ無くなるからです。

 毒ガス攻撃も考案されましたが、防護マスクを使用すれば防ぐことができ、皮膚から蝕むような毒ガスは、ガス攻撃後に突撃していく味方の兵士まで被害を被ってしまうため、安易に使用することができません。迫撃砲による攻撃は一定の効果を挙げましたが、退避するための壕に隠れればある程度回避できるため、砲撃もあまり効果が期待できませんでした。

 ではどうすれば良いのか、様々なアイデアが出されるなかで実用化されたのが、イギリス海軍が主導で開発した「マークⅠ」戦車なのです。

 陸軍の兵器なのになぜ海軍が主導して開発したのかといえば、実は海軍ならではの発想ともいえる「陸上軍艦」を作れば良いという考えの元に開発されたからだといいます。大きな車体に装甲を取り付けて、車体上面には機関砲を装備させるという、まさに陸上の軍艦と呼ぶのに相応の兵器でした。

 こうして、装甲板と57mm砲を搭載した世界初の実用戦車が第一次世界大戦中のイギリスに誕生しました。このマークⅠ戦車は、現代の戦車の原型ともいわれています。

 その後、多くの戦争や紛争を経て、戦車は大きく進化しました。現代の戦車はおもに敵の戦車を倒す為の兵器として姿を変えています。

この記事の画像をもっと見る(6枚)

最新記事

コメント

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleのプライバシーポリシー利用規約が適用されます。

3件のコメント

  1. 軍事ネタいらねーよ。自衛隊は好きだけど、乗り物ニュースを名乗っておきながら軍事ネタは不快。

    • お前のコメントが不快

  2. いいか、「自走砲は戦車と一緒だぜヒャッハー」と軍トップ自体がやらかして壊滅した部隊もあるんで見分けには気をつけろよ。