大地震発生、そのとき首都高では 橋に段差、動けなくなる車両… どうすればいいのか(写真25枚)

立ち往生車両を強制移動も 大地震ではどうすれば?

 段差の解消により、緊急車両の通行が確保されると、まずパトロールカーが車両の滞留現場にやってきました。先頭の立ち往生車両は段差にぶつかって動けなくなった想定。車内に残っていたドライバーと連携し、パトロールカーによるロープ牽引で移動しました。

 しかし、2台目の立ち往生車両はドライバーがすでに避難しており、無人となっている想定です。道路啓開部隊はまず現況の写真を撮影し、車両の移動を行った旨の通知書を車体に貼るとともに、右側後方の窓を割って、ドアロックを解除します。これは、2014年に施行された災害対策基本法に基づく措置。同法の施行により、災害時に緊急車両通行の妨げになる放置車両を、道路管理者が所有者に断りなく移動させることが可能になりました。

 道路啓開部隊は放置車両のタイヤに、「ゴージャッキ」と呼ばれるローラー付きのジャッキを装着し、車体を押してやや後退させます。空いたスペースに呼び寄せたレッカー車のリフト装置を、放置車両の下に装着し、前輪を吊り上げる形で牽引して移動させました。右車線で放置されていたこの車両が移動したことで、後続の立ち往生車両も走行が可能になり、それら車両が段差を乗り越えていったところで、訓練は終了です。

 首都高では、今回のように道路に段差などが生じ、車両が滞留する事態を実際には経験していないとのこと。東日本大震災の際にも被害は軽微だったそうですが、それ以降、迅速な道路啓開のために段差修正材の開発などに取り組んでいったといいます。首都高速道路 神奈川管理局長の草刈利彦さんは、今回の訓練を総括し、「様々な手順を確認するとともに、お客様や仲間への気遣い、心遣いなど、社員ひとりひとりの意識統一ができました」と振り返りました。

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橋に生じた段差を技術者が測定(2018年9月5日、中島洋平撮影)。
橋の段差を解消し、車両通行を可能に。資材は人力で運搬(2018年9月5日、中島洋平撮影)。
通行の妨げとなる放置車両を押して動かす(2018年9月5日、中島洋平撮影)。

 では実際に、首都高を走行中に大地震が起こった場合、ドライバーはどう行動すればよいのでしょうか。

 首都高速道路 防災対策課の長岡秀彦さんによると、「まずは道路の左側に停車します。場所によっては緊急避難路も設置されていますので、状況に応じて身の安全を確保してください」と話します。今回のように、災害対策基本法に基づき管理者がクルマを移動させることもあるので、それを円滑にするためにも、クルマから離れて避難する際はキーを挿したままにしておくのがよいそうです。

【了】

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