ローカル線「BRT転換」のメリットとデメリット 新展開は「自動運転」の導入か

経営の厳しいローカル線を廃止して代替バスを運行することは昔からありますが、近年は「BRT」と呼ばれるバスを導入するケースも増えてきました。BRTとはどのようなバスで、どのような利点や課題があるのでしょうか。

線路の敷地にバスを走らせる

 近年、利用者の減少などで鉄道の維持が難しくなっているローカル線の代替交通として「バス高速輸送システム」(BRT)が注目されるようになりました。

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JR東日本の気仙沼線BRT。東日本大震災で被災した気仙沼線の線路敷地を使ってバスを走らせている(2013年9月、草町義和撮影)。

 この場合のBRTとは、廃止や災害で不通になったローカル線の線路敷地にバス専用道を整備し、そこに鉄道の代替バスを走らせるもの。九州北部豪雨(2017年7月)で不通になったJR九州の日田彦山線・添田~夜明間についても、鉄道での復旧を前提に協議が進められていますが、2018年8月にはそれが困難な場合に考えうる一案として、BRTにふれられています。

 ローカル線の代替交通としてBRTを導入した場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。ひとことで言えば、鉄道とバスの「いいとこ取り」がBRTのメリットといえます。

 おもなメリットのひとつ目はスピード。鉄道の線路と同様、一般車が進入しない専用道を走るため、一般道だけを走る通常のバスより所要時間を短くできます。専用道は渋滞も発生せず、所定のダイヤに近い時刻で運行することも不可能ではありません。

 2007(平成19)年に廃止された鹿島鉄道(茨城県)の代替バス「かしてつバス」の場合、石岡駅停留所から常陸小川駅停留所までの区間を25分で結んでいました。2010(平成22)年には鹿島鉄道の跡地を活用した専用道が開通。「かしてつバス」も専用道経由に変更され、石岡駅~常陸小川駅間の所要時間は5~7分短い18~20分になっています。

 ふたつ目は運行本数。鉄道に比べ車両の購入費や運行費が安く、利用者があまり多くなくても本数を増やしやすいといえます。2011(平成23)年の東日本大震災で不通になり、2012(平成24)年にBRTが導入されたJR東日本の気仙沼線・柳津~気仙沼間の場合、震災前の運行本数は平日で下り12本、上り10本(うち上下各2本は仙台直通の快速「南三陸」)。これに対して現在のBRTは下り34本、上り31本で、震災前の約3倍になりました。

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コメント

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5件のコメント

  1. そう言う時代に入ったからなあ。
    特に旅客会社とかは導入するメリットあるかもね。
    人手不足も有るけど、仕方ない。鉄道もバスも同じ交通手段なのは認める以外無い。

    自動化の懸念もあるが、どうせ技術は進歩するんだからそれに合わせればいいだけ。

  2. 「鉄道と比べて所要時間が長くなった」と書いてあるけど、停留所の増設や既存の駅から離れた公共施設(病院など)に寄ってからまた専用区間に戻るルートになっている(沿線住民にとって利便性が高くなっている)のであれば単純に比較するのはおかしいと思う。ましてや始発から終点まで乗り通す定期利用者が一体何人いるのか。

  3. 制限速度を60キロに抑えなきゃいけないのは確かに悔しいな。一般車の通らない区間では規制緩和の途が無いのか国会を巻き込んで議論を盛んにして欲しい。

  4. BRTに転換されても、鉄道と通し料金、同じ条件で運行していただけたらそれで良い。

  5. (列車)1日12本→概ね1時間に1本
    (BRT)1日34本→概ね1時間に2本
    待ち時間が30分減った。

    全線通しで1時間20分(列車)→2時間(BRT)
    40分ぐらい遅くなった。 半分まで乗るなら20分遅くなった。

    ざっくりと考えると
    全線通しで乗ると10分遅くなった。 半分まで乗るなら10分早くなった。

    うーん 微妙な所です。