整備新幹線だけじゃない新幹線計画 北海道南回り、山陰、四国横断…実現可能性は?

実は一部完成している四国の新幹線

 基本計画線は、ここまで挙げてきた新幹線の補完ルートを構成する路線が中心です。工事は始まっておらず、本格的な検討も行われていません。

 ただ、岡山と四国を結ぶ瀬戸大橋は、在来線と新幹線の両方を通せる構造で、四国横断新幹線をここに建設することが可能。淡路島と四国を結ぶ大鳴門橋も四国新幹線の建設に対応するため、新幹線を通せるスペースが設けられました。一方、本州~淡路島間は明石海峡大橋が新幹線への対応を取りやめて道路専用橋として建設されたことから、明石海峡か紀淡海峡に海底トンネルを建設するための調査が行われたことがあります。

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鳴門海峡をまたぐ大鳴門橋の新幹線用スペース(2011年7月、草町義和撮影)。

 これらの路線がすべて完成すれば、実に約7030kmの全国新幹線ネットワークが出現。47都道府県中、少なくとも43都道府県には新幹線の駅が設けられるはずです。多くの地域で移動時間が大幅に短くなるでしょう。

 それだけではありません。複数の新幹線ルートが構築されることで、災害時の迂回(うかい)輸送にも対応しやすくなります。たとえば中国地方で大規模な災害が発生して山陽新幹線が不通になっても、四国新幹線を使えば関西から九州まで移動できます。

 しかし、さすがにこれだけの規模になると、当然ながら建設費の問題がつきまといます。そう簡単に実現できるものではありません。

 各線が通る地域の地価や地質などに左右されるため一概にはいえませんが、整備新幹線のうち初めて開業した北陸新幹線・高崎~長野間の場合、1kmあたり約70億円かかっています。これをそのまま基本計画線に当てはめると、すべて完成させるために必要な費用は約21兆2100億円。国の2016年度予算(当初)が96兆7218億円でしたから、その5分の1弱をつぎこまなければなりません。

 また、これらの建設中、計画中の新幹線は必ずしも人口の多い地域を通っているわけではありません。仮に建設費をすべて税金で賄ったとしても、完成後の経営は厳しくなることが考えられます。実際に新幹線を運営するJR旅客各社としても、そう簡単には手を出せないのです。

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コメント

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5件のコメント

  1. 北陸・中京新幹線は、東海道新幹線との共用区間を除く、敦賀〜米原が50kmぐらいなのでは。

  2. 理想は日本全国に新幹線で行き来が出来て
    色んなルートから東京や名古屋や大阪を経由できる新幹線ネットワークが一番でしょうね
    地方都市に大都市にも行ける新幹線

  3. >47都道府県中、少なくとも43都道府県には新幹線の駅が設けられるはずです。多くの地域で移動時間が大幅に短くなるでしょう。

    新幹線の線路自体がない千葉と沖縄、線路はあっても新幹線駅がない茨城、残りのひとつはどこだ?

    • 和歌山

  4. 「複線フル規格新幹線」だけでなく、「一部単線にした新幹線」や「在来線の時速160km運転」などの方法も「新幹線網の整備」と見なして鉄道網の再整備をする必要があると思う。

    今の複線フル規格新幹線だけでなく「中速鉄道」という概念や「その具体的な形態」の考え方も確立させる必要もある。

    また、これから造るフル規格新幹線の基本計画線区間は時速300kmを超えるような超高速ではなく、最高速度は例えば時速240km程度までとし、列車も各駅停車のみにする。そうすることで線路と車両の耐用年数を延ばしたり維持管理費を抑える という考え方も取るべき。
    特に基本計画線は「地方~地方間」の所要時間短縮が主目的になること、地域内格差の発生も最小限にする見地から。基本はそうしつつも、非常時には東海道・山陽・東北新幹線の迂回路となる機能は持たせておく。
    このほか、「貨物新幹線」や「新幹線による夜行旅客列車」の運行も想定しておくと更に良い。

    また、新幹線建設の際、沿線の地方空港を経由させていくことで、沿線の中距離程度は新幹線・長距離は航空路線というような、交通機関の垣根を越えた棲み分けや連携を図っていくことで、地方の交通を維持発展させる交通政策や戦略も持ってほしい。
    これは政治行政だけでなく、「乗り物ニュース」などのマスメディアも!!