渋谷直通「ハイグレード通勤バス」に住民熱視線 日本初「郊外型MaaS」は東急の街を変えるか(写真20枚)

スマホ予約でバスが迎えに来てくれるサービスも

 今回の実証実験で、バスによるもうひとつの移動サービスが「オンデマンドバス」です。定員10~14人の小型バスで美しが丘地区と地域拠点施設間を運行するもの。利用者はスマートフォンを通じて予約し、運行エリア内の指定した場所に迎えにきてくれるといいます。

「バスに乗る直前、5分前でも予約が可能で、それに応じた運行ルートをAI(人工知能)が適宜判断します」(東急電鉄 森田さん)とのこと。モデル地区の住民からモニター登録者を募って実証実験を行い、AIの信頼性や予約システムの技術的検証を行うそうです。

 3つ目の移動サービスが、「パーソナルモビリティ」。こちらは、ホンダの小型電動モビリティ「MC-β」を使い、坂道や狭い道の多い美しが丘地区において、「目的地までの最後の足」を提供するサービスだといいます。利用者は主に高齢者を想定。事前に所定の講習を受けた利用者が、スマートフォンを通じて予約し、その時間内で自由に利用するという使い方が予定されていますが、いずれは1週間単位で個人へ貸し出すような体制も検討しているそうです。

 そして4つ目のサービスが、「マンション内カーシェアリング」。美しが丘地区ではマイカーの保有台数が減少しており、駐車場の半分も使われていないマンションがあることから、マンションの住民どうしによるカーシェアリングのニーズを検討する目的で実施するといいます。スマートフォンを通じて予約し、その時間内で自由に利用する使い方を想定。事業者側で用意した車両をシェアする方法、マンション住民が所有する車両をシェアする方法の2パターンを実験するそうです。

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「オンデマンドバス」実証実験の概要(2018年10月31日、中島洋平撮影)。
「パーソナルモビリティ」実証実験の概要。
実験対象エリアは、たまプラーザ駅北側地区。

 いずれの実験も、2019年1月下旬から3月下旬にかけて、当該の美しが丘地区から参加者を募集する形で実施されます。東急電鉄の森田さんによると、そこから1年以内に田園都市線のほかの駅でも実験を展開、2~3年後にはこれらサービスを月額定額制で利用できるようにするといったモデルを構築し、沿線に不可欠なサービスとして認知されることを目指すとしています。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 提供サービスが東急らしいといえば東急らしいが試行段階なのかハイグレード車に比較的年季の入ったバスを使用するのも東急らしい。昔なら群馬バスのハイグレード車を移籍させていただろうか。
    ただ東急がハイグレード車を走らせても東急だけで解決しない問題がある。つまり道路の混雑はどうにもならずで定時性は難しく、距離が増せば増すほど通勤手段として使いにくくなる。
    第三京浜と首都高3号線が開通する前に東急ターンパイクが実現化されていればと思うがさすがに無茶な構想過ぎたし。
    それに少人数向け輸送手段にタクシーが絡んでいないというのも東急らしい。
    東横時代からの神奈川でのタクシー権利を神奈川都市交通に分割、傍系化し資本外にした為利用する発想がなく、
    昭和40年代に今回と同様のサービスを目論見しハイヤー事業に参入、失敗した経緯もあるのだろう。