災害派遣で船撃沈、「第十雄洋丸事件」の顛末 東京湾業火漂流20日間、その時海自は

自衛隊の「災害派遣」は地震や台風などの「天災」のみならず、事故や事件など「人災」を受け出動することもあります。そのひとつに、かつて東京湾沿岸を20日間にわたり戦慄させた「第十雄洋丸事件」が挙げられます。

「不沈艦」相手に大苦戦! やがて訪れるその「時」

 翌朝。新たな攻撃が行われます。まず4機のP-2Jが高度1500mから急降下し、127mm対潜ロケット弾12発を発射。ロケット弾は甲板に突き刺さり、またも大爆発が起こります。次に、対潜爆弾16発を投下、甲板に大きな穴をあけることに成功し、火災は一層激しさを増しました。

 しかし、ここまで攻撃を受けても「第十雄洋丸」は沈む気配を見せません。

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「なるしお」はうずしお型潜水艦の4番艦で、前年1973年9月に就役した当時最新鋭の潜水艦であった(画像:海上自衛隊)。

 ここで攻撃の本命となる潜水艦「なるしお」が登場。Mk.37魚雷の発射準備に入ります。この魚雷はホーミング(音響探知)能力を持っていましたが、動力を使用せずただ漂流する「第十雄洋丸」に対しては、その誘導能力も使用できず、「目標に対して発射する」という単純な方法で4発発射しました。

 魚雷攻撃の終了後、3度目の艦砲射撃が行われ、さらなる大火災を起こすものの、「第十雄洋丸」は炎上しながらその姿を見せ続けており、「これは不沈艦なのでは?」と不安になる隊員もいたようです。自衛艦隊司令部も増援として呉で待機していた潜水艦「はるしお」に出動命令を出しました。

 しかし、ようやくその「時」は来ました。潜水艦「はるしお」が呉を出港してすぐ、「第十雄洋丸」は数回の大爆発を起こし、後部甲板が沈み込み始めたのです。海中から「なるしお」も浮上し、すべての船がその様子を、息を飲んで見守りました。つぎつぎとタンクが爆発し、その火柱は300mを超えます。そして「第十雄洋丸」は、船首を天にかざすように屹立すると大渦を発生させながら海底へとその姿を消していきました。11月28日18時47分、衝突事故から20日。ついに「第十雄洋丸」は、沈没しました。

 現在ほど、自衛隊が注目を集めていなかった時代、実弾を用いたこの災害派遣についてはそれほど大きく報道されることはありませんでした。しかし、この海難事故と海上自衛隊の活躍については、2018年現在でも海上自衛隊内で、語り継がれています。

【了】

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コメント

5件のコメント

  1. 船としては、乗員ほぼ全滅のパシフィックアレスがその後修復され生き永らえたってのが何とも。

  2. 当日の蛋白泡消火では消えないはずです。今は高性能の泡消火薬剤を持っているはずです。

  3. 今なら消防艇で対応可能な訳ね

  4. この事故がきっかけで海上保安庁の「海猿」が誕生した。

  5. 当時の海自の司令官が、船乗りの立場として「沈没」の言葉を使うのを良しとせず、沈没という言葉を入れずに報告してましたね。また「沈黙の艦隊」で、タンカーに偽装した移動式ドックを設定したのは、この事件の影響もあるのかな。

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