土砂崩れ道路復旧のべ8km レア重機も出動した北海道地震、自衛隊重機部隊の戦い(写真14枚)
新潟の部隊は西日本豪雨に引き続き
筆者が今回の北海道胆振東部地震において、自衛隊の重機たちが活躍する現場を見ることができたのは9月13日のことでした。厚真町内にあるダムへの道が大量の土砂で埋まっている現場で、自衛隊の施設部隊が懸命に道路啓開作業を行っていたのです。
「施設科部隊」とは、自衛隊のなかにおける建設部隊のことを指します。おもな任務は最前線で活動する普通科(歩兵)や機甲科(戦車)部隊の攻撃や防御に関する支援を行うほか、後方地域では陣地や主要幹線道路を構築するなどします。たとえば、敵の陣地の前に設置された地雷原に通路を作ったり、破壊された橋の横に新たな橋を架けたり、場合によっては浮橋という巨大なイカダのようなものを浮かべて、部隊の移動を支援したりします。後方では、前線までの数百kmにおよぶ道路を構築したり、山肌を切り抜いて陣地を構築したりする部隊なのです。
その作業現場で中心となって作業していたのが、新潟県上越市に所在する第5施設群の部隊でした。この部隊は、発災直後に出発準備を整え、新潟からフェリーで北海道入りしたそうです。実は、この第5施設群は、今年7月に発生した西日本豪雨でも現地に災害派遣部隊として派遣されていて、隊員と重機たちは休む間もなくふたつの大きな災害派遣に参加していることになります。
こうした献身的な活動によって、9月15日には厚真ダム(北海道厚真町)への道路啓開作業を終えたそうです。今回の北海道胆振東部地震では、厚真町を中心として多くの場所で土砂崩れが発生しました。防衛省・自衛隊としては全7877mの道路啓開作業を完了し、被災地の物流網を復活させたのです。
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ちなみに、将来的な研究の一環として、遠隔操縦による作業車両システムの開発も行われています。この技術は化学・生物・放射能環汚染境下における、がれきなどの撤去技術のひとつとして研究されていて、たとえば東日本大震災で発生した原子力発電所事故のような人が容易に近寄れない現場でも、安全に作業できる環境を作ることを目指しているといいます。
【了】
画像見て理解したが、人の腕で言えばひじの間接の前でぐるりと回転できるわけだ。
たしかに普通の重機では見かけない。