自衛隊の災害派遣、実は8割が「急患輸送」 おもな舞台は離島、その実態とは?(写真15枚)

自衛隊の「災害派遣」は、地震や洪水など自然災害の場合だけではありません。その8割が、実は急患輸送です。消防の行政サービスを自衛隊が肩代わりするようなことをしているのには、もちろん理由があります。

災害派遣は自然災害時のみにあらず

 自衛隊・統合幕僚監部の発表によると、2017年度の災害派遣件数は501件でした。そのうち、自衛官5000名以上を派遣する大規模災害派遣は、2017年7月に発生した九州北部豪雨、福井県における大雪などが挙げられます。2018年度の大規模災害派遣は、7月のいわゆる西日本豪雨、そして9月6日の北海道胆振東部地震と続きます。

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急患を消防に引き渡す陸上自衛隊第15ヘリコプター隊の隊員たち(画像:陸上自衛隊)。

 こうした大規模災害派遣が目に付くなかで、実は自衛隊が行う災害派遣で最も件数の多いのが「急患輸送」です。2017年度の501件ある災害派遣任務のうち、実に約80%以上の401件がこの「急患輸送」に係る災害派遣でした。

 そもそも、なぜ自衛隊が「急患輸送」を行っているのでしょうか。

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急患輸送のために機内にストレッチャーを運び込む陸上自衛隊の隊員(画像:陸上自衛隊)。
急患輸送でも使用される栃木消防のヘリコプター「おおるり」(矢作真弓撮影)。
各自治体で広く運用されるドクターヘリ(矢作真弓撮影)。

 救急車による病院への搬送は、消防庁の行政サービスのひとつですが、離島の場合はどうでしょう。日本の有人島である離島のほとんどに大きな病院はありません。あっても診療所などの小さな施設で、そこでは大規模な手術などは行うことができず、こうした急患発生時には島外の大きな病院まで患者を運ぶ必要があります。このような場合、通常であれば、離島のグラウンドなどに消防のヘリコプターが出動し対処することが第一義となります。

 ところが、消防庁ではそうしたヘリによる患者の搬送を、民間の航空会社に委託しており、そしてその多くが夜間対応不可です。

 また、2017年に総務省・消防庁が発表した資料によると、日本で2番目に離島の多い沖縄県には、実は消防防災ヘリコプターが配備されていません。その代わりに沖縄県の事業として「ドクターヘリ」が配備されていますが、主として沖縄県中部の読谷発進基地から100km圏内、片道の飛行時間にして約30分を飛行可能範囲としているのみです。そのため宮古島や、八重山諸島などは運航対象外の地域です。

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1件のコメント

  1. 正月位には何事もなく平穏に過ごして欲しい