自衛隊の災害派遣、実は8割が「急患輸送」 おもな舞台は離島、その実態とは?(写真15枚)
やはり危険なこともある、それでもやめないワケ
2018年10月に行われた自衛隊観閲式のなかで安倍首相は、2007(平成19)年3月30日に発生した、第101飛行隊(現第15ヘリコプター隊)の墜落事故について触れました。
「急患輸送」に向かうため那覇駐屯地を離陸した建村3佐(当時)を機長とするCH-47JAは、患者が待ち受ける鹿児島県徳之島町のグラウンドに向かいました。現地は濃霧で視界が悪く、最初に試みた着陸はうまくいきませんでした。着陸の代替場所として徳之島空港への着陸を調整するも、刻一刻と容態が悪化する患者を救出したい一心で、建村3佐は、もう一度グランドへの着陸を試みようとした際に、隊員4名が乗るCH-47JAは、徳之島北部にある天城岳(標高533m)の山頂付近へ墜落したのです。この事故により建村3佐と同乗していた3名の、計4名の自衛官全員が命を落としました。
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急患輸送任務のなかで発生した墜落事故は、もう1件あります。それは、2017年5月に、北海道の丘珠駐屯地に所属する「LR-2」連絡偵察機が、急患を迎えにいくために函館空港へ向かうさなかに、標高約333mの山中に墜落しました。この事故でも乗っていた陸上自衛官4名が殉職しています。
こうした事故の後でも、自衛隊は「急患輸送」を取りやめていません。その理由は、たとえ困難な状況であっても、国民の生命財産を守ることが主任務である自衛隊ならではの存在理由にあります。
また、自衛隊が救助に向かう先は、警察・消防・海上保安庁などが対応できない過酷な環境である場合が少なくありません。そのような厳しい任務を達成するために、隊員たちは日々努力を重ね、訓練に勤しんでいます。
正月位には何事もなく平穏に過ごして欲しい