自衛隊の災害派遣、実は8割が「急患輸送」 おもな舞台は離島、その実態とは?(写真15枚)

本業圧迫? 実はこれも本業

 こうした「急患輸送」は、自衛隊法第6章「自衛隊の行動」のなかで規定されいる「自衛隊法第83条」に、「災害派遣」として明記されている任務のひとつです。そのため、この「急患輸送」も自衛隊本来の任務であるといえます。

 ちなみに自衛隊は、消防のほかにも海上保安庁と連携して「急患輸送」を行う場合もあります。この場合は、特に海難事故などにおいて連携を取ることが多いですが、たとえば、東京都の小笠原諸島では、父島に海上自衛隊の基地があるため、そこから飛び立った海上自衛隊のUH-60Jヘリコプターが急患を乗せたあとに、滑走路がある硫黄島まで患者を運び、そこから海上保安庁や自衛隊の飛行機で羽田空港まで「急患輸送」をすることもあります。

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陸上自衛隊の「LR-2」から運び出された患者は、受け入れ先の消防に引き継がれる(画像:陸上自衛隊)。
数少ない陸上自衛隊の連絡偵察機「LR-2」も急患任務で使用される(矢作真弓撮影)。
小笠原諸島とその近海で急患輸送にあたる海上自衛隊父島分遣隊の看板(矢作真弓撮影)。

 こうした「急患輸送」ではヘリコプターの活躍が多く語られますが、実は陸上自衛隊が保有する唯一の固定翼機(いわゆる飛行機)「LR-2」連絡偵察機も急患輸送任務に投入されています。固定翼機は航続距離が長く、速度もヘリコプターより早く飛べますが、離着陸できる滑走路がないと運用できないので、使用場所は限定されてしまいます。

 大きく取り上げられることがない自衛隊の災害派遣任務のなかには、こうした離島における「急患輸送」任務も存在しています。今日も、どこかで発生した急患を自衛隊が輸送し、尊い国民の命を繋いでいるのかもしれません。

【了】

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コメント

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1件のコメント

  1. 正月位には何事もなく平穏に過ごして欲しい