銀座線の電車が丸ノ内線を走る? 車両がよその路線を走る重要なワケ

通常は乗れない連絡線に乗る方法がある!

 この連絡線をさらに活用したのが南北線です。南北線は1991(平成3)年に赤羽岩淵~駒込間、1996(平成8)年に駒込~四ツ谷間が開業。王子神谷駅の近くに地下車両基地が作られましたが、本格的な検査は綾瀬工場で行うこととされ、市ケ谷駅に南北線と有楽町線を結ぶ連絡線が設置されました。

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千代田線の綾瀬車両基地に留置されている南北線の9000系電車(2016年8月、草町義和撮影)。

 この連絡線を通じ、南北線の王子車両基地(東京都北区)から市ケ谷の連絡線を経由して有楽町線へ。さらに有楽町線の桜田門駅から千代田線の霞ケ関駅に抜けて綾瀬工場に向かう、3路線をまたぐ回送ルートが完成しました。

 これらの連絡線は回送列車が走るための線路ですから、通常は一般の人を乗せる旅客列車が運転されることはありません。しかし、以前はこれらの連絡線を通過する臨時旅客列車が、年末年始や晴海地区の花火大会に合わせて設定されていたことがありました。

 また、小田急電鉄は2008(平成20)年3月から千代田線に直通する特急ロマンスカーを運行していますが、当初は千代田線から連絡線を経由して有楽町線の新木場駅まで乗り入れる臨時列車「ベイリゾート」も運転していました。ただし、この列車は2011(平成23)年を最後に廃止されています。

 連絡線は営業運転を前提とした構造ではなく、通過するためには途中で向きを変える必要があるなどダイヤ上の制約も多いため、臨時列車は近年設定されていません。まれに抽選制のイベント列車が設定されることがあり、体験するチャンスが全くないわけでもありませんが、現在はかなりの「レア列車」となっています。

 ちなみに、こうした路線間をつなぐ連絡線は、東京メトロ以外の地下鉄にもいくつか存在しており、同様のイベント列車が運行されることがあります。気になる人は、イベント情報を小まめに調べてみてはいかがでしょうか。

【了】

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Writer: 枝久保達也(鉄道ライター・都市交通史研究家)

1982年、埼玉県生まれ。東京地下鉄(東京メトロ)で広報、マーケティング・リサーチ業務などを担当し、2017年に退職。鉄道ジャーナリストとして執筆活動とメディア対応を行う傍ら、都市交通史研究家として首都圏を中心とした鉄道史を研究する。著書『戦時下の地下鉄 新橋駅幻のホームと帝都高速度交通営団』(2021年 青弓社)で第47回交通図書賞歴史部門受賞。Twitter:@semakixxx

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コメント

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1件のコメント

  1. では、東京メトロ9路線の車両をどうやって共演したのか知りたいです。銀座線と丸ノ内線は他の路線と電気の取り方が異なっているので。