消えゆく戦闘機F-4「ファントムII」 空自百里基地で「ラストファントム」飛ぶ(写真21枚)

「ファントムII」の終焉

 それでも、最期の時はやってきます。改修を行っても機体は寿命を迎え、2000(平成12)年から2015年くらいのあいだに、世界各国の「ファントムII」は次々と姿を消していきました。ドイツ空軍の第71戦闘航空団は2013(平成25)年6月29日、「ファントムII」の最後の任務飛行をイベントとして公開し、10万人を超えるファンが詰めかけるなか、その生涯を閉じました。

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2018年12月2日の「百里基地航空祭」にて、6機からなるトライアングル編隊を組む百里基地所属 3個飛行隊の「ファントムII」(月刊PANZER編集部撮影)。
「百里基地航空祭」にて、着陸後に減速用のドラッグシュートを切り離す特別塗装のF-4EJ改。F-15JやF-35Aはドラッグシュートを使わない(月刊PANZER編集部撮影)。
2018年の航空総隊総合演習で最新のF-35Aと並んで飛ぶF-4EJ改(画像:航空自衛隊)。

 2018年末の時点で、日本以外に「ファントムII」を運用している国は、韓国とイラン、ギリシャ、トルコの4か国といわれています。ただし、これらの国々も「ファントムII」の運用は縮小しており、イランでは2014年に、イスラム過激派への攻撃や偵察任務に使用されて以降、その姿は見られていません。また韓国でも、2018年3月にF-35戦闘機の引き渡しが行われ、2019年初頭からその運用が開始されるため、あと10年もすれば世界の空から「ファントムII」の姿がなくなる可能性は非常に高いのです。

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2018年12月2日の「百里基地航空祭」では第302飛行隊が「ラストファントム」と銘打って、これまでとは違う展示をしていた(月刊PANZER編集部撮影)。
「百里基地航空祭」にて、第302飛行隊の特別塗装「ファントムII」。主翼にも特別なデザインがなされている(月刊PANZER編集部撮影)。
「百里基地航空祭」にて飛行展示を行う第302飛行隊の特別塗装「ファントムII」(月刊PANZER編集部撮影)。

 お話を最初に戻しましょう。2018年12月2日、「百里基地航空祭」に世界中から集まった「ファントムII」のファンたち。ここは現在、世界でも類を見ない、偵察飛行隊を含む3個飛行隊が「ファントムII」を現役で運用している、いわば「ファントムII」の「最後の楽園」です。そして今回の航空祭では、2018年度末でF-35Aに機種変更を予定している第302飛行隊の、「ファントムII」のラストフライトということもあり、より一層ファンたちの心を浮き立たせるものとなりました。

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「百里基地航空祭」にて、飛行展示を終え来場者に手を振る第302飛行隊のパイロット。ふたりひと組で飛ばす戦闘機は、空自では本機が最初で最後(月刊PANZER編集部撮影)。
百里基地のエプロンではためく第302飛行隊の隊旗。これも2018年度末でデザインが変わると見られる(月刊PANZER編集部撮影)。
百里基地の広場脇に立てられたF-4EJ飛行隊発祥の碑(月刊PANZER編集部撮影)。

 残る2個飛行隊も、2021年までに「ファントムII」の運用を終了することが決定しており、その名のとおり「幽霊」のように姿を消そうとしています。しかし、世界中から百里基地に集まったファンの姿を見る限り、「ファントムII」は、いつまでも彼らの心に生き続けていくことでしょう。

【了】

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コメント

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2件のコメント

  1. あの大きなオジロワシが消えるのも惜しいです。

  2. ラストニンジャみたいな言い回し