いまはあり得ない? 冷戦期、西ドイツが考えたF-104「スターファイター」幻の運用計画

冷戦期には、いまでは考えづらい発想の兵器や戦術などが検討され、作られもしました。当時、西側陣営の最前線である西ドイツに配備されたF-104戦闘機と核爆弾の運用計画も、そのひとつかもしれません。

ZELL+核爆弾で想定された作戦とは?

 そしてもうひとつの「ニュークリアシェアリング」は、核兵器(ニュークリア)をアメリカから借り受け共有(シェア)するという、米独の取り決めのことです。ニュークリアシェアリングによって、西ドイツはアメリカの管理下ながら、事実上の核保有国となることができました。ZELLとニュークリアシェアリングによって想定された作戦は、おおむね以下の通りです。

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機体下の白い補助ロケットブースターはMGM-1「マタドール」巡航ミサイルのロケットを流用、8秒間限定でF-104に2Gもの加速度を与える(関 賢太郎撮影)。

 F-104Gは、最大1メガトン(広島型原爆の約50倍)の核出力をもつB43水素爆弾を1発搭載します。そして地上の射出機(ランチャー)に固定され、エンジン出力をアフターバーナー最大とし補助ロケットブースターを起動。射出後、ロケットは約8秒間燃焼し、この間2Gの加速によって自力で飛行可能な速度、約550km/hに到達します。

 燃焼終了後はロケットブースターを切り離し、敵のレーダー探知を避けるため高度は上げず、山や地平線の影を利用する「地形追随飛行」によって約1000km/hで巡航、標的接近前に急上昇し、爆弾を放り投げるように投下する「トス爆撃」を行います。トス爆撃は爆撃精度に劣る欠点があるものの、核兵器であれば威力が大きいのでこれをほぼ無視できますし、山なりの弾道で飛翔するため、投下後に危害半径から離脱・帰還する時間的猶予を得られます。

 ただF-104シリーズは燃料搭載量が少ないうえ、特に燃費が悪くなる低空での戦闘行動半径は、わずか120kmしかありませんでした。ZELLで発進し地形追随飛行するF-104Gは、西ドイツから国外へ長距離進出することができないという欠点があったのです。つまり、同機が搭載する広島型原爆の約50倍に相当する強力な水素爆弾は、侵略してきた敵軍を叩くため「自国内で使う」か、最大限進出しても、「もともとは同胞である東ドイツに対して使用する」しかないということを意味しました。

 また、ZELLとは自軍の飛行場が潰されていることを前提としたシステムであり、ZELLによって発進し敵軍を消滅させたとしても、F-104Gのパイロットは「帰る基地が無い」という問題をどうにかしなくてはなりません。F-104Gにはイギリス製のマーチン・ベイカーMk.7という高性能な射出座席が搭載されているため、ほぼ確実な戦死を前提とした「神風」とは全く意味合いが異なるものの、それでも射出座席の使用には、「死は免れられるが、無傷で済めば幸運」という大きなリスクを背負う必要がありました。

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コメント

1件のコメント

  1. 当時の西ドイツの置かれた状況を加味して上げて下さい。ワルシャワ条約機構軍、機甲師団は強力で、西側は戦車開発で遅れを取っており、質でも量でも劣っていました。開戦イコール敗北なのが西ヨーロッパの実情です。このため、アメリカを主とするNATO軍は進行してきたワルシャワ条約機構軍を西ドイツ国内、フランス国内に侵入させ、地中に埋設した核爆弾で一層する計画でした。この戦法はソ連解体まで維持されています。アメリカは本気で西ドイツとフランスの住人もろともソ連軍を吹き飛ばす気でした。もちろん起爆前の退避は計画されていますが、進行受けた国が満足な避難行動を取れる訳がありません。敗戦国ドイツ国民を犠牲にする事に反対する西側諸国は、同じく犠牲を求められたフランス以外はありませんでした。このため、ドイツは自滅覚悟の低空核攻撃を考案せざるを得ませんでした。例え実施しても失敗すれば米軍はドイツ国民もろとも核を起爆させる気満々で安全な後方に控えているのです。同じ白人種に対してすらこの塩対応。いわんや我が国に対する鬼畜米英の態度はより傲慢なものでした。この世に神がいらっしゃれば、ソ連共々、真っ先に滅ぼす国と言われる所以です。弱肉強食の国際社会、自ら戦わない者に人権は無い。

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