戦車のエンジンと燃費の悩ましい話 悪さはお察し、安全と実用性で紆余曲折の100年

ディーゼルとガスタービン、それぞれの特徴と気になる燃費

 先にも記した通り、現用戦車のエンジンはディーゼルが主流となっていますが、アメリカとロシア、戦車大国ともいえるこの両国は、戦車用エンジンにガスタービンを採用しています。

 ロシアについてはガスタービンを採用する一方でディーゼルも併用していますが、アメリカはガスタービンに一本化しています。ここでディーゼルとガスタービン、それぞれの長所と短所を比較してみましょう。

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小型だが燃費は非常に悪い米M1戦車のAGT1500ガスタービン(画像:アメリカ海兵隊)。
米M1戦車はジェット機と同じ航空燃料を用いる(画像:アメリカ陸軍)。
演習にてタンク車から給油中の英ウォーリア歩兵戦闘車(画像:イギリス国防省)。

 まず、ディーゼルエンジンですが、前述のように燃費が良い、燃料となる軽油自体がガソリンよりも安いといった利点があります。また、燃料となる軽油はガソリンなどと比べて引火しにくいため、被弾時の火災に対する危険性が低く、その点では安全性が高いともいえます。

 ガスタービンエンジンは、ディーゼルエンジンよりも軽くて高出力なのが特徴です。また、ジェット機やヘリコプターと燃料を共用できるといった利点もあります。しかしながら「燃費が非常に悪い」ところが短所です。

 アメリカのガスタービンエンジンを搭載するM1「エイブラムス」の場合、整地での燃費が約0.24km/Lといわれます。これはディーゼルエンジンを搭載するドイツの「レオパルト2」が、同じ整地での燃費で約0.46km/Lなので、半分程度です。ちなみに、市販のトヨタ「プリウス」現行モデルは、カタログ燃費(JC08)が39km/Lですので(グレードE)、M1「エイブラムス」と比較すると約162倍もの燃費差といえるでしょう。

 これはロシアでも同様で、初めてガスタービンエンジンを制式採用したT-80は、あまりに燃費が悪く、なおかつトラブルが多かったため、のちにディーゼルエンジンに換装したT-80UDというタイプが登場しました。さらにそののち、ロシアで開発されたT-90やT-14といった新型戦車は、ディーゼルエンジンを搭載しています。

 このように世界的に見ると、ガスタービンはまだまだ少数派です。転じて日本の国産戦車は、戦後も一貫してディーゼルエンジンを搭載しています。自衛隊発足時に供与されたM24、M4A3、M41といったアメリカ製戦車はガソリンエンジンでしたが、それらはいまでは全て退役しています。

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コメント

1件のコメント

  1. 以前読んだ高校生が90式戦車を乗り逃げする小説の後書きで、著者が取材した際に給油口の場所は教えてもらえなかったとか。
    一応そのような事態への考慮はあるようです。